政治・経済・社会
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JANJAN映像メッセージ 発言概要
堀田力の新しいふれあい社会づくり
(2005年11月1日撮影)
No.1  「小泉改革への注文」
●新布陣をどう見るか

 ・小泉流改革をできるところまでやり遂げようという思いが強く現れた布陣だ。改革は三位一体といわれる地方分権もまだまだだし、年金医療改革も国民の合意ができていない。やらなければならないことがいっぱいあることは国民もわかっているし、きちんとやってほしいという思いもある。だから、改革をやろうという姿勢自体は多くの国民が評価していると思う。

 ・だが、高齢化が猛烈に進む一方、支え手の若者が減るのだから、負担増の問題は避けることができない。高齢者を捨てるのか、それともある程度の負担増しか選択肢は残っていない。実際に消費税増税というかたちできたときに国民がどう出るか、1年先にはそれが待ったなしの課題になる。それまでに国民の理解度をどれだけ深められるか。この内閣のまずもっての課題になる。

 ・それには幅広い視点に立ったいろいろな政策を動員しなくてはならない。単に社会福祉の問題だけでなく、たとえ外国から働き手を受け入れるというような移民政策とか、高齢者が元氣で働ける仕組みをどうつくるかというような。そこまで方向性を出して、全部動員してもこれだけの負担がかかる、さてどうしますかという道を選択肢とともに示すことが必要だ。野党、とくに民主党の責任も重い。

●小泉改革の問題点について

 ・大本のところでいえば、福祉に限らず、経済と政治(行政)の世界だけに焦点があたっていて、肝心の国民の生活、生き方、助け合いといったところへの視点がまったく入っていない。欧米諸国も官から民の問題や地方分権などに取り組んできたが、NPOやボランティアへの支援といった政策の面でも同時に手を打っている。自分でできることは自でやりましょうという基本精神も社会に脈々と流れている。社会の『自助』『共助』『公助』のうちの『共助』の部分をさらに支援しつつ、『公助』を整理するやり方をとってきた。英国でもリストラなどずいぶん厳しくやったが同時に地域通貨の仕組みとか失業者の問題などで地道な受け皿づくりも行っている。

 ・日本の場合、『公助』、それも結局は経済財政改革でやる行政改革といった面ばかりになってしまって、主体となるべき国民の生き方とか助け合いの仕方とかいった部分が全然視野に入れられていない”冷たい改革”になっている。

  NPOへの支援も構造改革の着地点の社会作りの大切なところだという認識が全然ない。結局は民といっても事業者、あるいは事業と事業者的にやるNPOというその辺りに権限を移していこうというだけの話になってしまう。小泉改革はそういう最初の視点と着地点が欠落しており、そのひずみがいろいろな面で出ている。

― 次回はNo.2「助け合いのネットワークを」の予定
(インタビュアー(文責)/ジャーナリスト・元朝日新聞論説委員 大和 修)
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