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定期連載 挑戦−幸福づくり
更新日:2005年9月16日
さわやか丸の新しい針路

 「新しいふれあい社会の創造」を目指してさわやか丸が出航してから14年、日本社会は確実に変わってきている。
 私たちは、高齢者を支えるボランティア団体を全国各地に立ち上げる組織づくり事業を中核としながら、子どもからサラリーマンまで、次第に活動の対象を拡大してきた。もちろん最終目的地(理念)は変えないし、必要な事業に多角的に取り組む姿勢も変えないが、中核に置いている組織づくり事業の進め方は、流れに合わせて変えなければならないと考える。
 そこで潮流を見ると、私たちが活動を始めたころと異なり、いまは高齢者支援のためのふれあい活動をする団体は全国に3000団体を数え、配食や移送から居場所での交流まで活動の形態も多様となり、これに子どもたちが加わり、さらに支援する側とされる側の区別がなくなって、町づくり、環境保護、災害対策、障害者支援、外国人支援などの活動とも手を結ぶようになるなど、市民が実に多彩に幸せづくりに挑戦するようになってきている。
 私たちは、高齢者支援のふれあい活動を行う団体を立ち上げながら、それだけに止まらず、地域でさまざまな活動を行っている市民団体(NPOやボランティア団体)とネットワークを組み、地域の人々の多様なニーズに応じて支え合えるよう連携していかなければならない。そうなれば、当然に、足りないサービスがあぶり出されてくるから、そういうサービスを行う団体が生まれるよう、みんなで協力して働きかけたい。
 さらに、連携は市民団体相互間だけでなく、医師会や福祉企業、そして、行政との間でも結ばれる必要がある。
 そういう包括的なネットワークができて初めて、地域に住むそれぞれの人の異なるニーズをすべて満たすことの出来る社会が形成されるのである。
 すでに行政は、介護について「地域包括ケアにより高齢者の尊厳を支える」という理念を打ち出し、地域包括支援センターを市区町村につくって包括的な体制づくりにとりかかろうとしている。
 私たちも、これと並行して地域に包括的なネットワークをつくっていきたい。それが組織づくり事業の進む新しい針路である。
 インストラクターは、従来の組織立ち上げ支援に加え、地域の実情に応じつつ、ネットワークづくりとその充実(足りないサービスの創出支援)に活動の軸足を広げていってほしい。
 そして、地域の実情に応じて情報を集め、インストラクターの活動を支援するのが、各ブロックの役割となる。
 ネットワークづくりの進め方は多様であってよい。無理に急ぐのは禁物である。じっくり現状を見極めながら、針路だけは曲げることなく、着実に進んでいきたい。これまでそうしてきたように。

(『さぁ、言おう』2005年6月号)
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