政治・経済・社会
(財)さわやか福祉財団ホームページへ
 
定期連載 辛口時評
更新日:2005年9月16日
軸整理し二大政党に

 保守党が消え、自由党は合併し、社民党が細って、政界は二大政党に向けて歩を進めはじめたようである。小選挙区制を採れば必然的に生じる現象であり、それは進歩だと考えている。
 これまでは、日本株式会社の繁栄のため官僚が立てた政策があり、これを実現しようとする自民党と、これに反対する野党があって、国民には賛成か反対かという選択肢しかなかった。民主党は、打ち出されたものにただ反対するだけでなく、マニフェストをつくって別の政策を打ち出そうと努力しており、これが熟してくれば、国民は、二つの方向の政策のどちらを選ぶかという選択が出きることとなる。それにより、国民の意向はこれまでより正確に政治に反映されるようになる。
 それでは、選択すべき二つの基本的な方向は何か。やっかいなことに、その軸が二つある。
 その一つは、民主導の国にするか官主導の国を続けるかという軸である。
 民主導でいくならば、規制緩和や地方分権を実質的に進め、中央政府の権限や規模を大幅に縮小する方向で、個々の政策を立てなければならない。構造改革路線である。
 官主導の国を続けるなら、部分の手直しは別として、基本構造は従来のままでよい。保守路線(改革派から見れば抵抗路線)である。
 ところが、現存の自民党対民主党は、このような二つの方向の選択ができる二大政党にはなっていない。
 妙なことに、従来の政治経済の構造から利益を得ている国民層を主たる選挙地盤とする自民党は、当然のことながら保守・抵抗路線の議員が多数を占めているのに、それでは無党派を引きつけられないものだから、党首に構造改革派を置き、ある程度は政府にその方向の政策を進めさせている。そこで国会の攻防は、小泉総理の真贋(しんがん)論争のような形になり、改革の方向をとるか保守を堅持するかという政策の実質についての審議はあまり行われない。その上、民主党にも労組系の保守派がいる。このようにねじれた状況では、国民による政策の選択は困難で、二大政党の長所が生きない。
 もう一つの軸は、民の活力を使って経済を発展させ先進国をリードする日本をつくるか、それともすべての国民がその能力をそれぞれに発揮しつつ安心して暮らせる日本にするかという軸である。自由経済路線と生活路線と略称してもよい。人でいえば、小泉・小沢路線か管路線か、あるいは、サッチャー路線かブレア路線かという対立軸である。しかし、この軸もねじれていて、二大政党の選択とは結びつかない。
 今すべきことは、保守・抵抗勢力も頭では必要性を理解している構造改革を、勇気をもって進めることであり、そのために民主党は、政府が曲がりなりにも行おうとしている改革を大胆に後押しすることである。それが終わると自然に、二つ目の軸による政党の整理統合に進むであろう。そこではじめて日本は、先進国なみの政治レベルに立つことになるのであろう。

(神奈川新聞掲載/2004年2月2日)
バックナンバー一覧へ戻る
  このページの先頭へ
堀田ドットネット サイトマップ トップページへ