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提言 ビジネス(人事・組織)

更新日:2018年3月20日

社員の地域活動

 夫や妻に死に別れ、1人になって力を落としている人を元気にするための会がある。月1回、午後の2時間お抹茶やお菓子で楽しいひと時を過ごす。おひとり様歴20年の人が悲しみ歴数カ月の人を支える。

 この会を開いているのは千葉県の不動産業・建築業の社員。25人の社員が、本業の時間の約4割を地域活動に充てる。「それでもなんとか黒字経営を維持しています。会議室も接客スペースも地域活動に開放するので、事務所がなんだか明るい公民館のような感じになっています」

 大里綜合管理株式会社の社長になって23年の野老ところ真理子さんからは、いきいきとしたエネルギーが伝わってくる。

 社員たちが取り組む地域の課題は、年間300にも上る。その地域活動が社員みんなを前向き、地域好き、人好き、仕事好きにしているという。

 「あなたが先生、私も先生の地球塾」という活動は、50人近い地域の人たちがお互いに趣味や特技を教える。最高齢は85歳。中国茶の先生である。学ぶのも楽しいが、教えるのはもっと楽しい。

 「30キロウォーク大会、50キロウォーク大会」は、もう20回になる地元のウォーク大会。年配の女性たちがチェックポイントで椅子に並んで座り、歩いてくる人たちにハイタッチやハグをする。はじめはぎこちなかったそうだが、回を重ねるにつれおばあちゃんたちが慣れてきて、笑いの絶えないチェックポイントになっているという。

 「夏期の学童保育」も20年を超えて続いている。大人の先生がいなくても5、6年生たちが先生になって昼食やおやつを火や包丁を使ってつくる。40日に及ぶ夏休みの間、子どもたちは上級生も下級生もぐっと成長し、思い出と友だちをいっぱいつくる。

 「その気になれば、企業も地域活動はやれるし、それが経営にも役立ちます」

 野老さんの言葉には実績に裏付けられた迫力がある。

(京都新聞「暖流」2018.3.12掲載)
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