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提言 福祉・NPO・ボランティア

更新日:2015年11月25日

決め手はワークショップ
 

「できるのに地域に貢献しないのは恥」。そういう文化を確立するほかないと考えている。これまでボランティア活動を広めるのに力を合わせてきた仲間たちが鼻白む顔が目に浮かぶ。しかし、これだけ生活に困る人々(厳しい競争社会の中、自助努力では生きていけない人々)が増え、公助のための財政を国民が支えられなくなっている実態を考えると、あとは共助(互助)の力で助け合ってやっていくほかない。
 そうなると、これまでのような、やることが快感だからボランティアをやろうというボランティア自己充実説では間に合わない。あなたのボランティアがなければ社会は成り立たないというボランティア社会的任務説に立たざるをえない社会になっている。多くの先進諸国も同じである。
 とはいえ、ボランティア、助け合いを広めるためには、当事者の自発性は不可欠の要素である。
 では、当事者の自発性と社会的任務とをどう両立させるか。
 その答えは共感の拡大であり、その有力な方法が住民相互のワークショップであろう。
 これまで講演会、セミナーなどでボランティア、助け合いの薦めを数限りなくやってきたが、一般住民向けの会では、その気のある人しか来てくれないし、その気になってくれても2、3週の内にいい受け皿に出会わないと、高まった参加意欲が薄れてしまう。受け皿を紹介するセミナーもあるが、人数が限られる上、お金も結構かかる。
 行政が行う担い手アンケートという方法もあるが、個別面接でていねいに気持ちを引き出さないと、おざなりの答えになる。
 その点、地域住民相互のワークショップでは、目の前で困っている人々のSOSが具体的に出るので、アンケートでは「オレはもう年だからやれない」と答えていた人が、「そのことならオレでも少しは役に立てるよ」となる。共感の拡大である。そして、それはすぐ実行に移すことができる。
 今年から実施されている新地域支援事業は、住民相互のワークショップを全地域で実行するチャンスである。そこに参加した人々による助け合いが地域の心を呼び起こし、参加しないのを恥とする文化が静かに広がることを期待している。

(「厚生福祉」2015.11.24掲載)
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