全国の市町村に「生活支援コーディネーター」が誕生しつつある。介護保険制度における要支援者などの生活を支えるため、助け合い活動を広めることを任務とする方々である。年齢、職業などはバラバラで、定年退職後に自治会長をしていたような男性がいる一方、20代の保健師さんなどピチピチの張り切り女性も珍しくない。
地域で助け合い活動を創り出していくわけだから、地域に顔が売れなければならない。だから助け合いを広めるためのフォーラムなどを開いたときは、地元の生活支援コーディネーターに登壇してもらい、皆さんに紹介するようにしている。
市(町村)長さんが聞いておられることも少なくないので、私はちょっと意地悪な質問として、「生活支援コーディネーター(特に第1層の方)は、市民の声を生かすために、時には市長さんと対等に談判することも必要になるかもしれませんが、できますか」とマイクを向ける。
あっさりと「ええ、やりますよ」と答える若い方もおられ、市長も席でにっこり手を振ってくれたりすると、会場は沸き、応援の拍手が起きる。
ところが、行政や社会福祉協議会の担当職員で生活支援コーディネーターに任命されているような人の中には、困惑して、会場にいる上司をちらちらと見ながら、「任務ならやるしかないです」と声を振り絞って答えるような方もおられる。
そういう時は、申し訳ない質問をしたと反省しながら「無理だろうな」と感じてしまう。
話は変わるが、このところ地方に移り住んでその地域のまちづくりに専念するボランティアの青年男女が現れている。私も何人かに会ったが、実に生き生きとしていて、物怖じしない。といって威張る気配はまるでなく、地域のいろんな年齢の方々とフレンドリーに話している。ずいぶん年輩の有力者なども「この人は本当によくやってくれるよ」と、その若者のアドバイスを心から喜んで受け入れている。何年かして地域が再生すると、またどこかへ移り住むのだという。
私は、生活支援コーディネーターに求められる独立の精神はこれだと思った。地域を愛する純粋な心。ただそれだけが動機の人は、やさしくて、強い。
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