政治・経済・社会
(財)さわやか福祉財団ホームページへ
 
提言 福祉・NPO・ボランティア
更新日:2017年11月9日
市民はわかれば動く

 福岡県の佐賀県境に位置する大川市は、家具の製造で名の売れたまちである。家内工業的な会社が多く、「社長がいっぱい」なだけに、自立心が強く、助け合い活動を広めるのは難しいという下馬評であった。

 しかし、今、全国市町村いっせいに要支援者らの生活を助け合い活動で支える制度を広めているところだから、放っておけない。

 昨年2月、私も参加して全市民対象にフォーラムを開き、助け合い活動の必要性を説いたら、予想外に多くの人たちが、やるぞと手を挙げてくれた。市民が主体となってやるというところが持前の自立心を刺激したのであろう。

 そのエネルギーをしっかり受け止めてくれたメンバーがよかった。市の担当者石山裕子さんは、地域が大好き。彼女の自由な動きを周りの職員たちがサポートした。40歳の倉重良一市長も助け合いに理解が深い。そして助け合い活動創出のキーパーソンである生活支援コーディネーター古賀暢宏さんは社協マンで、地域を知り尽くしている。

 人口3万5千の市を6つの生活圏に分け、古賀さんや石山さんらが動いて、それぞれの圏域で全4回の住民勉強会を開いた。先のフォーラムで手を挙げた人たちを核にして、どんな助け合い活動を創るか議論を重ねたのである。

 その成果を、先月30日再び開いた全市域フォーラムで披露してもらった。6圏域から老若男女16人が立って、自分の言葉で熱い思いを語った。居場所に公民館を活用する、すでに始めている地域の助け合いの拠点を居場所に置き、両方の活動を結び付ける、子ども食堂や寺子屋など高齢者と子どもの交わる場をたくさん創る、野菜づくりや販売を住民どうしでやる、ご用聞きボランティアドライバーを募るなど、項目はほかでもあるものだが、中身が実に具体的。何しろ「私がやる」という人がそこにそろっているのが、頼もしい。市民は、わかれば動くのだと実感した。

(京都新聞「暖流」2017.10.16掲載)
バックナンバー   一覧へ
  このページの先頭へ
堀田ドットネット サイトマップ トップページへ