さわやか福祉財団は、住民主体の生活支援推進研究会を開催して去る8月に自治体と国に対する提言書をまとめ、厚生労働省と全国自治体に配布した。要支援者などの生活を助け合いで支えるための新総合事業のいわゆる「B型」に関する提言である。
「珍しくもない」と思われるかもしれないが、これは行政から委託され、経費をもらってやった研究ではない。経費はすべて、市民からさわやか福祉財団にご寄付いただいたお金で賄っている。助け合い活動を広めるためのB型について、その制度設計や運用は適切かを問う研究会だから、行政からお金をもらってやるのは違うと思った。
「それじゃ勝手で無責任な陳情のような提言だろう」と思われるかもしれないが、それも違う。全国自治体や社協、地域包括支援センター、福祉分野のNPOなどの担当者、生活支援コーディネーターなど681人から寄せられた真摯な悩みや課題の指摘を踏まえ、ヒアリングを重ねて問題点を把握した。そして、新総合事業の設計責任者である元厚労省老健局長の原勝則さんを座長として、全社協はじめ福祉やボランティア活動の実施団体の責任者などを委員に迎えて、深くリアルな議論の結果、まとめた提言書である。委員には、原さんの下で制度設計した服部真治さんも加わり、事務ではこの分野の該博な知識と智恵の持ち主である三菱UFJリサーチの岩名礼介さんと齋木由利さんが全力を投入して支えてくれた。
提言は、B型に関する市町村の要綱について、その多くは補助する助け合い活動などの要件を絞り過ぎているとして、「要件を必要最小限に」と要望している。実際、かなりの市町村が、補助する助け合い活動の要件を要支援者と基本チェックリスト該当者に絞っているが、助け合い活動だから、困っている人がいれば誰でも助けるのが自然な動きであり、市町村にはそれを制限する権限などない。その中で要支援者等も助けられていれば、その分に着目して補助すればよいだけの話である。
提言は、「補助額の決定に協議体(住民に近く実情に詳しい)の意見を入れる」など、現実的で画期的なことも言っており、助け合いを適切に広めるのに有効適切なものだと自負している。
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