政治・経済・社会
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提言 政治・経済・社会
更新日:2005年9月16日
議会とNPOと住民

 議会人には、NPOぎらいが少なくない。
 「あれは、アカだ」と、ひとことで排除する、40年ほど時代に遅れた方も、まだ御存命である。
 そこまで古くなくても、「どうもやることが信用できん」という「ウサンくさいから嫌い」派、「なんでオレのところにあいさつに来ないで、勝手なことをやるか」という「議会の権威を重んじないから嫌い」派、「女が集まって何がやれるんだ」という女性蔑視・憲法違反の封建おやじ派、「選挙になるとわけのわからん奴をかつぎやがる」という無党派大嫌い派などなどが、ところによってはけっこう多数派を構成している。
 議会人のなんとなくNPOぎらいな気分は、わからないわけではない。議会とNPOは、ある面では、競争関係に立つからである。それは、行政とNPOがある面で競争関係に立つのと同じであって、たとえばNPOが環境とか福祉などの分野でせっせと住民の喜ぶサービスを提供していると、住民の間から「行政や議会は何してるのよ、こんなことはもともと行政がやることなのに、何にもしないで。NPOにばっかり汗を流させて、申し訳ないでしょ。こんなことなら、もう税金は払わないわよ」などと住民に怒られたりする。あるいは、福祉で同じようなサービスを提供していると、「行政のサービスって、条例に縛られているせいだか何だか知らないけど、遅くて融通がきかなくて心がこもってないのよねぇ。NPOのサービスの方がずっといいわ」などという評価が広まったりする。行政や議会から見れば、何となく目ざわりなのである。
 しかし、NPOやボランティアがやっているサービスを全部行政がやれと言われたら、財政がもたない。議会も行政もNPOも、住民のために活動しているのだから、そこはしっかり連携して、それぞれの果たす役割を果たしていくことが住民にとって好ましい。
 またNPOは、直接住民に接してそのニーズをよく承知しているから、NPO関係者から話を聞くのも有益であろう。選挙の応援団体からは聞けない、フレッシュな住民のニーズを知ることができる。
 これからの地方議会は、行政の監視役ではなく、住民の生活上の要求を吸い上げ、特に社会保障制度を住民と共に運営していくための智恵を出し、仕組みを考えていく役割が大きくなっていく。地方分権とは、具体的には、議会がそういう役割を担うことだといってよい。
 インターネットで常時住民の生活上の要求を受け付け、これに応えていく仕組みをつくったり、たとえば介護保険のサービスで足りないものは何かといったテーマで住民集会を開いたり、地域の子どもたちを集めて、子どもは大人に何を求めているかといったテーマで子ども議会を開くなど、住民の声を聞く工夫をいろいろとしたいものである。

(議長会報掲載/2004年9月17日)
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