政治・経済・社会
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提言 政治・経済・社会
更新日:2005年9月16日
「官優位」の設計 見直しを

 行政任せではいい社会はできない。そのことを知った人々が、快適に住める社会をつくろうと動き始めている。
 政府が進めている公益法人改革も、そういう動きを支援するものでなければならない。政府も、民間の活動を促進するための改革だというが、これまでの検討状況から浮かんでくる構想は、現場からみるとまだ足かせがいっぱいである。要するに、政府は民間を信用していないのである。
 政府の作業は、十一月にも法人制度の改革案をまとめ、来春にはその税制のあり方を決めて立法作業に入る予定のようであるから、事が決まる前に対案を提示したい。
 第一に、政府は、新たに非営利法人制度をつくり、準則主義(一定の要件を満たせば官庁の許可は不要)で設立を認めるとしているが、これは当たり前の話であって、問題は、同窓会など非営利法人に対する寄付金や会費についても、その法人の収入として法人税を課そうとしていることである。寄付金や会費は事業資金として拠出されるもので、自由に処分できるものではない。このような資産に課税するのは、経済的にみると、預かり金や株式会社の資本金などに課税するのと同じで、してはならない悪政である。課税するのは、収益事業による収益に限定すべきである。
 第二に、政府は、非営利法人の中から、実績をみて公益性のある法人を選ぶとしている。しかし、現在は、設立当初から公益法人になれるのだから、これは後退である。一般の非営利法人は公益活動をするわけではないから、実績をみる意味はないし、実績がなくても予算書や事業計画書で公益性は判断できる。
 非営利法人と公益法人とは連続しているから制度上も連続させるべきだというが、公益性ありと認定できる法人は社会的意義が異なるのだから、別類型とすべきである。それに、社会福祉法人、学校法人、宗教法人など広義の公益法人については連続させない仕組みのままで、新公益法人だけ連続させるというのは、理屈に合わない。また、公益法人から非営利法人に逆戻りする時に便利だというが、実績主義にしなくても、そういう制度にすればよい。
 第三に、新しい公益法人に関する税制である。政府の審議はこれからだが、過去の財務省の考え方からすると、公益性が認められた非営利法人には、収益事業による収益にだけ法人税を課し、寄付者に対する所得税については、厳格に要件を絞った法人に対するもののみ損金算入を認めるとの結論になると思われる。
 しかし、すでに述べたように、収益事業による収益だけに課税するのは、公益性の有無に関係なく、利益を分配しない非営利法人一般について当然のことである。
 公益法人やNPO法人は、私益でなく、社会のために、行政も私企業もやれない事業を行っているのであるから、その立場は、行政と同格であると評価できる。だから、公益法人の行う本来の事業については、たとえ相手から負担金などを得たとしても、行政の行う事業に法人税を課さず、行政に納める税金に所得税を課さないのと同様の扱いをすべきである。米英などの制度を見習ってほしい。日本の政府がこれに反発するのは、民間の公益活動は行政のそれより格段に質が低いと考えているからにほかならない。
 これらの問題は、住みよい社会を官優位でつくるか民主体でつくるかの基本にかかわる。広く議論していきたい。

(読売新聞掲載/2004年10月22日)
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