政治・経済・社会
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提言 政治・経済・社会

更新日:2015年10月26日

丸投げではない

 北海道は十勝平野に、池田町がある。人口約7200人、高齢化率約40%。

 一人暮らしの高齢者や認知症で在宅暮らしの方もたくさんおられ、どう支えていくかが町の大問題である。

 だから、昨年行われた介護保険制度の改革で、要支援の高齢者などの生活を住民相互の助け合いで支えようということになった時、いち早く町はこの事業に取り組んだ。

 その思いを、町の担当係長である鈴木聞さんはこう話す。

 「一刻も早く、できることから、何でもいいからとにかく始めていかないといけないという思い 、“走りながら考える”という思いで、まずは生活支援体制整備から開始させていただいたのです」

 ちなみにお名前は「きこゆ」さん、魅力的な女性係長さんである。

 生活支援体制整備事業というのは、助け合いを広める任務をになう生活支援コーディネーターと、その活躍を支える協議体に入る人々を選び、生活を支える体制をつくる事業のことである。町は早々とこの事業を社会福祉協議会に委託した。しかし、これは丸投げではなく、町も社協と一緒になって進めている。この関係を説明する鈴木さんの言葉がすばらしいので、まるごとここに紹介したい。

 「今回の改正については、介護保険制度の改正だけの問題ではなく、町を変えていくという事業だと考えています。町を変えていく事業ということは、町としての意思決定が必要な事業ということです。包括(地域包括支援センター)だけで考えてできるということではなく、社協がやれば良いということでもなく、保健福祉課がやれば良いということでもない。本来一番根底にあるべきなのは“町としての意思決定”です」

 町が住民のニーズをしっかり確かめて、どんな助け合い活動を創り出していくかの方針を固める。それを、みんなで協力し合って実現していく。その覚悟を示した頼もしい発言であった。

(京都新聞「暖流」2015.10.11掲載)
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