昔は人は助け合って暮らしていた。それがここ1世紀ほどの間に、自己責任の考え方が浸透した。自分が頑張って生きていこうという基本はとても大切なことである。しかし、自分の力ではどうしようもない時にも助けてもらえない社会は、人に冷たい社会である。
いきがいを高めながら人に温かい社会を取り戻したいと9月に開いたのが「いきがい・助け合いサミットin大阪」である。副題は「共生社会をつくる地域包括ケア〜生活を支え合う仕組みと実践」。この4年間、各自治体は高齢者などの生活支援を助け合いでやろうと頑張ってきたが、これを「共生社会」をつくるという大きな視野に立って幅広く進めようというわけで、生活支援コーディネーターが直面している助け合いに関する54の課題にそれぞれの分科会が取り組み、今後に向けて54の提言をまとめた。
「地域社会におけるつながり・支え合いを深めるために住民の主体性発揮を促せるよう、介護保険制度や従来の地域福祉の枠にとらわれず、地域で生まれつつあるさまざまな取り組みに目を向け、協働できる余白のある仕組みへと見直しを」(分科会1)。欲張りな提言だが、要するに共生社会を取り戻すのは住民で、住民がそれぞれ自分のより良い暮らしを求めて主体的に動いてこそ、それが可能になる。行政や社協は主体的を妨げないように応援しようと言っている。
これが共生社会をつくる基本で、「日常生活の支援体制は、あくまで住民から信頼されるという視点に立って構築しよう」(分科会3)、「(行政は)地域の資源を最大限生かす後方支援、補助を行おう!」(分科会11)、「地域の暮らしに視点を置き、生活の立て直しを組み立てていくケアプランを作ろう」(分科会15)など行政各方面向けの提言や、「(地域で)顔の見える関係をはぐくみ、自分ごととして助け合える地域にしていきましょう」(分科会7)など住民向けの提言が並んで、住民の主体的な活動の推進を呼び掛けている。
全国から3千人の助け合いの仕掛け人たちが集まったサミットは、未来の明るい共生社会に向けて力強く一歩を踏み出したものと実感している。明年9月の名古屋サミットに期待してほしい。
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