厳しい刑務所での訓練を終えて罪を清算し、立ち直ろうとけなげに努力をしている刑余者。身体を張って彼らを支えてきた玄秀盛さんが嘆く。「彼らは故郷に帰りたいのに帰れず、大都会の孤独に負けて元の道に戻ってしまう。何とか人を丸ごと受け入れる地域をつくれないものか」
貧困や引きこもりなどのため生活に困っている人たちを地域に導き出して「支えられていた人を支える人に」するような場を提供する活動を続けている豊中市社協の勝部麗子さんは「(彼らの課題を)知ることによって地域は優しくなる」と提言される。
前厚生労働次官の蒲原基道さんが参加されたグループからは「障がいのある方に、それぞれの特性に応じた自分らしく生きることのできる地域活動の場を提供しよう」との提言があった。
これらの発言や提言は、いずれもわがさわやか福祉財団が昨年9月に大阪で開催した「いきがい・助け合いサミット」の分科会で出たものである。
いろいろな事情で生活しづらい人々には、生活できる場が必要であるが、それだけでは足りない。彼らがくじけず頑張り続けるためには、地域の人々が、彼らを普通に受け入れ、温かく付き合っていくことが必要である。大阪サミットではそのことが確認された。
今年9月名古屋で開くサミットでは「地域は具体的にどのように彼らを受け入れるのか」という難問に取り組みたい。
彼らは、地域から排除されたくないと望んでいる。地域の中には、困っている人に手を差し伸べたいという温かい気持ちの人がかなりいる。問題はその両者をどうつなぐかである。
地域には、民生委員とか地域福祉員とか保護司などがさまざまな支援活動をしておられる。そういう方々を含めて「共生社会」の実現のために力を貸そうという方々の連携チームをつくり、そのつなぎ役を果たしてもらえないだろうか。
有効な対策を探りたい。
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