政治・経済・社会
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提言 政治・経済・社会

更新日:2020年3月18日

地域づくりのプラットフォーム?

 戦後の昭和時代は、自助が原則で、自助で暮らせない人を公助が救う時代であり、地域は家族が暮らすだけの場であった。平成時代は、これに互助・共助が加わり、役割を強めてきた時代で、地域はつながって支え合い、助け合う場という色も見せ始めた。
 その役割を強化する仕組みが、各自治体が設けた生活支援コーディネーター(SC)・協議体という体制である。なぜ、介護保険の資金で支えられるこの体制が互助の地域づくりを担うのか。それは、一つには平成時代、少子高齢化が急激に進んで、地域で支えを必要とする最大の層が高齢者となり、支える側として期待される最大の層も高齢者となってきたからであり、二つには、地域における互助は高齢者だけの相互間で行うのでなく、全世代一体となって行わなければ、成り立たない性質のものだからである。互助の地域づくりを進めるには、そのために動く住民や関係者の交流・連携の場(プラットフォーム)が必要であるが、その核となっているのがSC・協議体である。
 ただ、地域で支えを必要とするのは、もちろん高齢者に限らない。格差が大きく、複雑かつ高度な現代技術社会では、子ども、障がい者、認知症者、生活困窮者をはじめ、支援を必要とする人は増える一方である。厚生労働省が制度化しようとしている地域共生のプラットフォームは、何らかの支援を必要とする人たちを地域が支えようとするもので、地域の人々の“困っている者同士誰でも支え合おう”という当然の思いを形にするものといえる。子ども、障がい者のほか、どの分野の人たちも互助のための地域を必要としているのだから、協働してプラットフォームをつくり運営に当たるべきで、SC・協議体は通いの場を提供するなどその先導的役割を果たしてほしい。
 令和時代に入り、人々はただ平穏に生きるだけでなく、積極的に自己の能力を生かし、人から認められ、生きがいを持って生きたいという欲求を強めている。そうなると、就労、起業、社会貢献、趣味・学習、祭りなど、個々の自己肯定感を満たす地域に場が求められる。そのために、もう一回り大きなプラットフォームを、各省庁が協働してつくり出す必要があるのではなかろうか。

(「厚生福祉」2020.3.17掲載)
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