「人類の特徴は、共同して生きることです」
京都大前総長の山極壽一氏の力強いメッセージに、会場の皆さんが一斉にうなずく。
「私たちは、モノをほしがる所有欲求を追い求めていては、幸せになれません。人と人の関係の豊かさを求める存在欲求が満たされる社会へと転換する必要があります」
財政学の神野直彦氏の言葉が続く。
さわやか福祉財団が9月1、2日に横浜で開催した「いきがい・助け合いサミット」には、3千人を超える全国の助け合い仕掛け人たちが参加してくれた。時節柄ほとんどはオンライン参加だが、シンポジウム終了直後から「元気が出た」「改めて人間の素晴らしさを感じた」「自分のしている町内会の活動に、自信が持てた」など、こちらが感激するような反応を次々にいただいた。共生への動きが、確実に始まっている。
お金と競争と格差の冷たい社会を、すべての人がそれぞれに持つ能力を生かすあたたかいいきがい・助け合いの社会に変えようという呼びかけで始めたサミットは、一昨年の大阪に続いて今年が2回目であるが、招かれざるコロナ禍の中での開催となった。
ところが、コロナ禍は、期せずして人と人との絆や助け合いの重要さを人々に思い起こさせ、人々は密集を避けながら、いろいろな工夫をして、つながりを保ち、強めているのである。そのことが、サミットに提出してくれた全国の自治体からのポスターで明らかになった。コロナ禍が呼び起こした共生への動きである。
そして、これも期せずして、早くから設定していたサミットの時期に、パラリンピックの開催が重なった。パラリンピックのテーマは、多様性と調和、つまり「共生」である。
今、所有欲求に押され気味の存在欲求であるが、サミットの開催に全国でのコロナ禍への対応とパラリンピックが重なり、共生への三重奏が高らかに奏でられた。
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