政治・経済・社会
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提言 政治・経済・社会

更新日:2022年8月4日

子育ての社会化

 いよいよ子ども子育て政策を具体化する作業が始まった。先進諸国に比べ格段に遅れている日本の政策レベルを一気に引き上げ、「望む人は誰でも安心して子どもを産み育てられる」社会環境をつくり出してほしい。

 今は子育ての責任は親、特に母親に集中しているが、これを「大丈夫。私たちにやれないところは社会全体で負担して、子どもを独り立ちさせてくれるから、私たちは安心して子育てを楽しめばよい」と安心して子どもを産めるようにしなければ、日本の少子化は止まらない。

 それには、子どもがどんな親に宿ろうと、国(行政)は、子どもが独り立ちするまで健やかに成長する権利を保障することが基本である。

 具体的には、まず、3歳未満児についても現行の「保育の必要性の認定」の要件を削り、親の選択する多様な形の保育サービスの提供を保障することである。

 大切なのは、親が自ら選択して就業していない場合であっても、育児休業している場合であっても、1週間のうち何日かは、保育施設あるいは地域子育て拠点において、地域の乳幼児たちおよび地域の大人たち(親や保育士でない人たち)と遊ぶ機会を設けることである。その時期にそういう機会を経験することが、共感力を主とする人間力の養成に極めて重要だからである。

 乳幼児期に親が子育てすることは、もちろん子どもにとっても、親にとっても、社会にとっても有益であるから、親が育休給付を受ける権利を非正規雇用に広げ、あわせて復職を実質的に保障することが重要である。

た、子ども1人ごとに子ども伴走者をつけて、出産・子育てに関する相談を受け、家族の役割分担、親の育休取得、保育サービスの選択など万般について調整、仲介などを行うことも、親に大きな安心をもたらす。これらのサービスを就学後の支援と連動させることも、すべての子どもの健全な成長を保障する義務からして、当然であろう。

 政策の実現は、安定財源の確保に懸かっている。私は、あえて言えば、幅広い層がなるべく公平に負担し、かつ市町村の子育て責任を明確にする仕組みは、子ども保険だと考えている。

(「厚生福祉」2022.8.2掲載)
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