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定期連載 朝日中学生ウィークリー
更新日:2006年6月22日
大人になるとはどういうことか
  あなたは、大人になりたいと思っていますか。
  私は、中学1、2年生のころは、あまりそういうことを考えていなかったように思います。大人は、いってみればまったく別の生き物で、自分が大人になるということがピンときませんでした。
  中学3年生になると、声変わりし、うっすらとだけどヒゲも生えてきて、自分も大人になるのだということを、実感しました。そして、急に大人たちのきたないところが目につくようになりました。特にきたないと思ったのが、おやじと教師です。
 
  ●●おやじと教師に腹が立つ日々
  それまで、不満はあっても、おやじと教師は、絶対に偉くて強い、カンペキな大人でしたから、その言うことには、無条件で従ってきました。尊敬していたのです。
  ところが、思春期に入ると、急に、おやじも教師もいい加減な人間に見えてきました。偉そうにしているけど、間違ったことも言うし、知らないこともいっぱいある。子どものことを思ってしかるのでなく、自分の感情にまかせて怒る。おやじはおふくろが苦労していても知らぬ顔で手伝わないし、稼ぎが少なくて家族に我慢させているのに、鈍感で、いばっている。教師は、ろくに授業の準備をしてこず、教え方も下手くそなくせに、試験では意味のない問題を出して減点し、優越感にひたっている。
  どういうわけか、おふくろと、兄貴分のような教師にだけは腹が立たないのに、おやじと、兄貴分以外の教師には、言うことなすこといちいちむかついていました。
 
  ●●カンペキな人間なんていない
  特におやじとは口もきかない何か月かが過ぎて、私は、やっと、人間とはその程度のものなのだということが胸に落ちるようになりました。
  こちらが求めていたようなカンペキな親や教師などいるはずもなく、その意味で人間というのは悲しいようなコッケイなような存在なんだ、と悟ったのです。
  それにしても、大人を対等の人間として見られるようになってから味わった、おやじと教師に対する失望感は簡単には消えず、自分が親になるならもう少し子どもの心がわかる親になりたいし、教師のような責任の重い職には就かないぞと決めました。同時に、早く経済的に自立して、おやじや教師に束縛されることなく、自分のしたいことをしたいと、痛切に思うようになったのです。
(朝日中学生ウイークリー/2006年5月7日掲載)
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