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定期連載 暖流
更新日:2014年7月26日
福祉団地
 「私たちの団地から孤立死や餓死する人が出てよいのか」。その思いが真地団地の自治会長眞榮城嘉政(ルビ:まえきよしまさ)さん(65才)を狩り立てた。
 真地は、マージと読む。
 那覇市にある12棟、計400室の団地である。
 「自治会活動の質的転換が必要だ。従来の単発行事型を365日通年型の活動にしよう。それには、自治会福祉という考え方を導入して、会員の意識を変えることが必要だ」
 アイデアマンの眞榮城さんがやったことは多い。
 不活発だった団地の高齢者組織で、市の事業「地域ふれあいデイサービス」を受託、週1回のサービスのうち、月2回分は、自主運営にした。もう16年も続き、団地の高齢者のいきがいとなっている。
 市の社会福祉協議会の事業を導入して、百金食堂を開いた。毎金曜日、100円均一の食事会。メニューを見るとこれが結構豪華で、ちらしずしにあさりのみそ汁。ウインナー、ゆで卵、しそ昆布、梅干し、みかん。毎回5、60名が参加し、この会から、助け合いが生まれ、さらに食事に加わるNPOなど他の団体との連携も生れているそうな。
 子育て支援も怠りない。市の子育て支援センターの出前講座を引っ張ってきた。
 絆が深まり、ついに団地に地域福祉部が誕生する。目標は「日本一の福祉団地」。「まだまだですがね」と眞榮城さんは謙虚だが、「真地団地自治会福祉五ケ年計画」などを作って意気込みはすごい。
 5階までの階段すべてに手すりをつけ、集会所のトイレを洋式にし、血圧計、ルームランナー、健康バイク、車椅子5台から8名乗りの車まで、購入。国から助成財団までの事業に目ざとく手を挙げ、資金をものにする。車には出不精の高齢者を乗せて、青春時代思い出の地巡りを楽しむのだとか。
 若々しいから認知症のおばあちゃんから「一緒になって郷里に帰ろう」とせまられたりしている。
 日本中の団地に、こんな自治会長さんが欲しい。
(京都新聞「暖流」2014.6.15掲載)
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