世の親たちに捧(ささ)げる、小学5年生たちの声である。
・働いている親に感謝したい。
・お金は大切に使いたい。
・あいさつの大切さがわかった。
東京都品川区の小学校で職業体験教育を受けた子どもたちは、計15時間でこれだけのことを学ぶ。過去、世界に誇る学習成績をあげてきた20代の若者たちは、働くことやお金やあいさつの大切さをわかっているだろうか。
「仕事というものはこんなにおもしろいのかと思った。3日間商品の補充ばかりだったけど、とても楽しかったし、自分のためになった」と、三重県立桑名北高校1年の生徒は感想文を書いた。
「先生と生徒の本当の力を引き出すのが総合的な学習の時間」と断言する同高校の大橋真元教頭は、「たった数日の職場体験でも、ほとんどの生徒があいさつができるようになるなど、変化は目に見えて表れた。そんな生徒たちを見て、先生たちもまた変わっていった。実際、生徒の問題行動も今はすっかり少なくなった」と語っている。
生きる喜びを知り、自分の頭で考え、問題を自主的に解決していく力を持った子どもたちをどのように育てていくか。
そのために導入された総合的学習の時間について東京都内の小学6年生、中学3年生400人強に聞いた結果が「平成15年度東京都教職員研修センター紀要」に分析されている。
小学生の8割、中学生の7割が、総合的学習の時間で身についたと感じているのは、「自分の力で調べたり活動したりするようになってきた」ということである。友だちのよさに気づいたという答えも多く、これは共同作業の成果であろう。そして、8割の教師が、子どもの新しい面を発見している。このような成果は、子どもに時間を与え、自分のやりたい課題をみつけて取り組んだ時に生まれるということが分析の結果証明された。
子どもは、自ら伸びる力を持っている。それを助けるのが最高の教育であり、それを抑えつけるのが最悪の教育であろう。
桑名北高校の取り組みは、ホームページ(http://www.recruit.co.jp/shingaku/career-g/jirei/sougou/20010911002.html)でも紹介されている。
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