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定期連載 学びの時評
更新日:2006年3月15日
「お手伝い通貨」で役立つ喜び
  人といい人間関係を結べない子どもたちが多いという嘆きは、もう諦めに変わっている。家庭でも地域でも大人たちの人間関係が希薄になって久しいのだから、当然の現象である。
  人間関係を取り戻す仕掛けとして、わがさわやか福祉財団は、東京のある児童館の子どもたちに時間通貨を勧めてみた。15分券とか30分券とか、時間単位の私設通貨を発行して、これで頼みごとをしようというわけである。子どもたちは素直に面白がって、マンガやセリフの入った時間券を発行して使い始めたが、けっこう「遊び相手になってほしい」というのが多いのに驚かされた。一緒に遊ぶのも難しいらしいのである。もちろん、「場所を譲って」とか、「ビデオ、おもちゃを貸して」と子どもらしいのもあった。
  これを重宝したのがお母さん方である。宿題を手伝わされたかわりに、便所掃除、洗濯、買い物、弟妹の世話などにこき使ったらしいが、普段はいやがる子が、時間通貨でやると、「自分も気分がいい」「楽しい」という感想を持つのが不思議である。主体的にやって、礼を言われるのが喜びをもたらすと見受けた。
  地域とのつながりでは、静岡県浜松市の海老塚にある南小学校の「えびぃ」が面白い。その運営は5年生に任されているが、彼らは全学年に、「地域の方にできる親切アンケート調査」を行った。そうして作成したリストには、草取り、花の世話、話し相手、お手伝い、肩たたきなど、たくさんのメニューが並ぶ。
  学校のために職業体験指導や講師をしたり、行事に協力したような地域の人々にえびぃを渡し、地域の人々はそのえびぃを使って子どもたちに掃除やお店の手伝い、商品の配達などを頼んでいる。
  様子をみると、お店の手伝いといっても、やり方を教えるのに手間がかかって職業体験授業と変わらないようにも思えるのだが、大人たちの方は上手にほめながら楽しげに教えているし、一方、子どもたちはひとかどのことをやったような顔で堂々とえびぃを受け取っている。地域で行われる最高の人間教育であり、それが地域社会の復活にもつながると思った。
(読売新聞掲載/2006年3月6日)
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