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定期連載 学びの時評
更新日:2005年9月16日
おやじの会で得をするのは?
 「おやじの会」が、じわじわと全国に広がっている。おやじたちの地域活動を進めている団体はあるが、特定の全国団体が仕切って、管理しているわけではない。仕事だけでは満たされなくなったおやじたちの自然発生的な会が多い。
 仕事人間だから最初から事業計画を立て、賛同者を募るタイプのものもあるが、だいたいは、集まって飲むところから始まる。そのうち、「こうして遊んでいるだけでいいのか」と反省する真面目(まじめ)派が出て、解散してしまうか、地域活動に取り組むかの二者択一を迫られる。その中で、「子どもたちを何とかしようじゃないか」というおやじたちが、少しずつだが増えている。
 子どもたちに仕事をしているところを見せようというのもあって、これは職業教育に役立ち、学校からも歓迎されている。しかし、一番得をするのはおやじであろう。ともすれば、ウザッたいだけで何の存在価値も認められなかったおやじが、親近感と尊敬の対象に昇格したりするからである。
 近ごろは放課後や土、日に学校を地域に開放するプログラムもかなり採用されるようになって、おやじたちの活動の場が増えた。得意のおやじギャグで、「PaPaっと夏まつり」と名付けてイベントを催したりしている。
 勉強好きにはパソコンや英会話に科学実験、体育系には催しはこと欠かず、遊びは昔取った杵柄(きねづか)で、凧(たこ)づくり、どんど焼き、○○探検隊からペットボトルのロケット飛ばしなど、これも多彩である。おやじと子どもの料理づくり、ケーキづくりも、子どもが主導権を取っている。
 仕切らないおやじ、夢中で子どもと競うおやじ、知恵を出したり腕を発揮した子どもに素直に感嘆するおやじ、そして、みんなのために黙々と後片付けするおやじ。
そういうおやじたちの中で、友だちの親と、卑屈にならず威張りもせず、仲良く協力しあっている自分の父親。
 そうした姿を見ていれば、子どもは、思春期になって自分でもわけのわからない衝動に突き動かされた時でも、親子のつながりが切れるような反抗まではしないであろう。
(読売新聞掲載/2005年7月4日)
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