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連載 新地域支援事業
更新日:2014年10月30日
新地域支援事業の展開
一挙に仕掛け人を増やそう
 8月31日から3日間にわたり開催したブロック全国協働戦略会議は、私たちの運動の仕方を大きく転換する節目の会議として、長く記憶されることになるであろう。
 初日のパネルで助け合いの基本的意義を学んだ場面では、インストラクターは聴き入っていた。そのあと、厚生労働省のガイドラインが示した新地域支援事業の枠組みを踏まえ、どう助け合い活動を広げるかについての戦略討議に入ると、会場は二派に分かれた。厚労省振興課課長補佐の服部真治さんに対し、資金補助などについての技術的質問をするなど、ガイドラインをしっかり読み込んできた人たちと、一生懸命発言を理解しようとしているが、今ひとつ腑に落ちていない顔つきの人たちとの二派である。
 そこで2日目冒頭、私からガイドラインが示した枠組みに関するさわやか福祉財団の基本的立場を説明した。
「私たちは、あくまで助け合い活動を広めようとする立場にある。ガイドラインは、訪問A型、通所A型などのサービス類型も多様な選択肢の一つとして示しているが、これは、助け合い活動ではない。こちらの方が出るお金も多いからその魅力はあるだろうが、それラノサービスは私たちが広める運動をしなくても事業者がやるのであって、私たちは、あくまで広めるのが難しい助け合い活動を広めることに集中すべきである。厚労省が生活支援コーディネーターや協議体という仕組みをつくるのも、助け合い活動を広めるためである」
 これで会議の雰囲気は落ち着き、みんなが助け合いを広める戦略に沿って活気に満ちた討議をした。そして3日目が終了する頃には、「私たちの運動の原点に戻って頑張ろう」という熱い思いが会場にみなぎっていた。
 これからのインストラクターの任務は、全国の市町村が平成29(2017)年度末までに順次選任していく生活支援コーディネーターや協議体構成員に対し、インストラクターが長年にわたり実践してきた助け合い活動について、その内容や特徴、これを広げる志と手法とを伝えていくことである。運動の仕方が、新しい段階に入るのである。
 9月初旬に厚労省が開いた中央研修(生活支援コーディネーターを養成する講師候補者に対する研修)では、都道府県が推薦した受講者の顔ぶれを見ると、さわやかインストラクターが34名も選ばれてはいたものの(他に団体推薦4名)、多数派は行政職員と社協の職員・OBである。もちろん彼らの中には助け合い活動に通じた人もいるに違いないが、自ら市民、住民の中に飛び込んで助け合い活動を広げる苦労を重ねた経験のない人も少なくないように見受ける。
 そういった方々に、現場の思いと智恵(手法)を伝えることが、新地域支援事業の実施を機に、正しく、着実に助け合い活動を根付かせるのにもっとも有効な方策である。熱意も知識もない人がその市町村に沈んだ空気をつくったのでは、元に戻すのに大変なエネルギーが要ることになる。
 私たちは、9月22、23の両日及び10月7、8の両日、東京で、中央研修に選ばれたインストラクターを中心に、助け合い活動を広げる具体的手法を生活支援コーディネーターに伝える方法を学習する研修会を開く。そして、そこで学んだインストラクターたちを中心に、リーダーになってもらい、10月から2、3か月の間に、全国8つの地域で、生活支援コーディネーター候補らに対し、実務的な研修会を開く。ワークショップを主として、具体的に手法を学ぶ点で、理論を学ぶ厚労省の中央研修とはまったく異なる研修会である。
 全国の生活支援コーディネーターあるいはその候補者が、私たちと共に学び、お互いにその長所を伝え合い、よりすぐれた助け合い活動仕掛け人となって、住民が幸せに暮らせる地域を創り出す力を高めていくことを、心から願っている。
(情報誌『さぁ、言おう』2014年10月号掲載)
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2014年10月30日 新地域支援事業の展開
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