更新日:2014年10月30日 |
新地域支援事業の展開 |
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さわやか福祉財団は、新地域支援事業により各市町村に生活支援コーディネーター及びこれを支える協議体が設けられることになったことを、新しいふれあい社会を創るチャンスととらえ、生活支援コーディネーターや協議体構成員になるべく“わかった人”が任命されるよう働きかけていくという戦略を、全国のインストラクターと共に、樹てた。
“わかった人”というのは、市民が自発的にふれあい、助け合う活動をすることの意義と喜びとを身体感覚でわかり、これを他者に働きかけてその他者にもわからせ、その行動を引き出す能力を持った人のことである。財団がこれまで養成してきたさわやかインストラクターの相当数が、“わかった人”の域に達している。
その戦略は、ほぼ予定したとおり進んでいる。
1 県単位のフォーラムの開催
県単位のフォーラムは、その県内の市町村職員や地域包括支援センター職員、社会福祉協議会職員、NPOや自治会などのリーダーらに、市民が自発的に行う助け合い活動の特徴やその活動を仕掛け、協働するための留意事項などを理解してもらう目的で開催してきた。
3月7日の宮崎県(宮崎市)を皮切りに、この8月10日の山形県(酒田市)まで、28回開催し、そのうち27回には、厚生労働省の担当官と私が講演をしている。
市町村や地域包括支援センターの関心は想像した以上に高く、休日に開催したところでも県内の3分の2くらいの市町村からの参加者があり、熱心に耳を傾けてくれた。
アンケートも多くが書いてくれ、理解が大きく進んだことがうかがえた。
2 市町村への働きかけ
フォーラム参加者で、アンケートに“自分の市町村で勉強会を開くことに関心がある”と答えてくれた人たちに連絡を取り、生活支援コーディネーター候補の選出や協議体結成へと結び付くような勉強会を開くという戦略は、まだはかばかしい成果は挙げていないが、各地のインストラクターたちが、忙しい時間を割いて動いてくれている。
財団も、この働きかけを最優先事項として、新しく採用した優秀な4人の職員を含め、8人の専従職員が、道府県を分担し、インストラクターと協力してこの働きかけを行う体制を固めた。
3 生活支援コーディネーター養成への参加
国は、9月上旬に、2回に分けてそれぞれ2日ずつ生活支援コーディネーターを養成する人たちに対する研修を行う。
これを受ける人は、都道府県が、2回合計6名(うち1名は県職員)を選ぶこととされている。県内にも多くの市町村があり、また、社協や市町村職員のOBたちも多いなかで、さわやかインストラクターも、あちこちの道県から選ばれている。
新地域支援事業の展開に関して都道府県との連絡を密にするという戦略を、インストラクターたちが着実に実行してくれていることの成果である。
4 ガイドラインの発出と今後の展開
厚労省は、7月28日に新地域支援事業の運用に関するガイドラインを発出した。
助け合い活動を事業の中核にすること、行政は補助金(助成金)の交付等によりこれを支援すること、生活支援コーディネーターと協議体を行政の費用で設置し、助け合い活動の開発やネットワークの形成を行うことなどを決めている。
ただ、助け合い活動をするのはあくまで市民で、市民がその気にならなければ、何も動かない。
地縁組織の活性化やNPO団体の設立運営などのノウハウを持っているのはわが財団や社協など限られた団体であって、私たちは、その使命を果たすため、今こそ全能力を注ぎ込んで新しいこの事業を成功させなければならない。
ガイドライン発出に伴う戦略の展開については、発出の翌7月29日に全インストラクターに連絡したが、これを、8月31日から3日間東京・両国で開くブロック全国協働戦略会議で深めることにしている。
そこでは、国の中央研修ではあまりふれられない助け合い活動の具体的な広め方をまとめた財団のテキストブック(パワーポイント)を提示し、生活支援コーディネーター等にこのテキストで講義するための方策などを協議する。
ブロック全国協働戦略会議をこの時期にずらして開催することにしたのも、ぴったり戦略展開にはまる決定であった。
展開ぶりは、順調である。
あとは、インストラクターのふんばりにかかってくる。 |
(情報誌『さぁ、言おう』2014年9月号掲載) |
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