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定期連載 朝日中学生ウィークリー
更新日:2006年6月22日
将来どんな仕事をしたいか考える
  あなたは『十三歳のハローワーク』(幻冬舎)を読んだことがありますか。作家の村上龍さんが、13歳前後の少年少女のために、5百以上の職業の内容を教えてくれている本です。
  村上さんは、その年代の子どもたちには好奇心が特に大切だと考え、職業に対する好奇心を刺激するため、この本を書いたそうです。私は、ちょっと早過ぎないかと心配でしたが、ずいぶん売れたようで、安心しました。
  「大きくなったら何になろう」と考えるのは、子どもだけに許された喜びです。自分の将来に開いている無限の可能性。それを夢みる時、うっとりとしたいい気分になります。しかし、その一方で、「自分にはそんな能力があるだろうか」という不安にかられます。
 
  ●●考えることで人間として成長
  夢と不安の間で揺れ動きながら、いろいろ考えてみましょう。
  「自分には、どんな仕事が向いているのだろうか」
  「自分は、どんな仕事をしたら、楽しいと思えるだろうか」
  「自分は、その仕事でどんなことをしたいのだろうか。お金もうけか、人に役立つことか」
  そういう問いについて考えることは、人間として成長するのに役立ちます。
  私は、中学生のころは、作家になりたいと思っていました。家に日本文学全集とか世界文学全集などがあって、勝手に読んでいるうち、ワクワクするような小説に出あいました。「モンテ・クリスト伯」とか「レ・ミゼラブル」とか「坊ちゃん」などです。こういうすごい話を自分一人の頭でつくり出し、たくさんの読者に涙を流させたり勇気を与えたりする作家に、自分もなりたいと思ったのです。こわいもの知らずでした。
 
  ●●作家になりたくていろいろ勉強
  それからは、小説を書くにはいろいろ社会のことをよく知らなければならないと考えて、現代社会や歴史などの勉強を積極的にし、新聞もくわしく読むようになりました。また、国語や英語も、表現という視点から勉強するようになりました。一方で、人々はどんな小説を面白がるのだろうという興味を持ち、いろいろな人に有名な小説の感想を聞いたりしていました。
  結局、私は作家よりも検事の道を選びましたが、それでも、中学生のころ、作家を希望したことは、とてもよかったと考えています。人間や社会について、自発的に学び、考えるくせがついたからです。
(朝日中学生ウイークリー/2006年6月4日掲載)
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