「いじめ」の実態はすごいものですね。文部科学省の発表でも、大変な増え方ですが、この数は信用できません。いじめの認定の仕方が変わっただけで、前から今と変わらないくらいあったと思うし、今でも発表の数の何倍もあると推定されます。いじめられても黙っている子どもたちがたくさんいるからです。
「朝日中学生ウィークリー」は、ずっと続けていじめに関する投稿欄を設けています。この欄によって精神的に助けられた生徒は、たくさんいると思われます。ひとりの人をその精神的打撃から救うことも難しいのに、多くの人を救ったとしたら、その功績は大きい。投稿した人たちにも感謝したいと思います。
○止めようという運動を始めては
私が不思議に思うのは、どうしていじめられた人たちが集まって、いじめを止めようという運動を始めないのかということです。
「優しい心が一番大切だよ」といっていた小森香澄さんは、高校一年生で、いじめのため自殺しました。お母さんの美登里さんは、学校などに真相の調査、発表を求めましたがはっきりした結果が得られず、仲間たちと、いじめをなくす運動に立ち上がりました。このように、親たちは、さまざまに、社会や学校に訴えています。
しかし、たくさんいる、いじめられてつらい思いをした当の本人たちは、どうしているのでしょうか。せっかく投稿にあるような素晴らしい知恵を絞っているのに、その知恵を集めて自分の学校に生かそうという気にならないのでしょうか。
いじめられた当事者だけが集まって、体験や考えを語り合うだけで、心が軽くなったり、気持ちが前向きになったりします。これは、大人の犯罪被害者などの集まりで見られる現象です。その集まりが、犯罪をなくす運動に発展することもあります。
○あたたかい人のつながりが必要
子どもたちのいじめをなくすのは、親や教師や教育委員会など、大人の責任でもありますが、子どもたちにも、みんなで力を合わせていじめとたたかってほしい。特に、一度被害に遭った人は、被害の大きさを体と心で知っているのだから、仲間と語り合ってほしい。またエネルギーが戻ってきたら、仲間と一緒にいじめをやめようと訴えてほしい。それによって、元気が戻ってきます。
いじめは冷たい心が起こすものだから、それをなくすのは、あたたかい人とのつながりだと思うのです。
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