更新日:2007年9月11日 |
いじめをなくすための憲法 |
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NHK総合テレビが毎土曜日の朝9時半から、「課外授業ようこそ先輩」という番組を放映しています。
去る8月4日、私が出身校である京都市立洛中小学校の6年生35人にこの授業をした風景が放映されました。
私のテーマは「いじめをなくすためにクラスのみんなが守るべき憲法をつくろう」というものでした。みんな活発に議論し、考え、6つのルールをつくったのですが、難しかったのは、「いじめられた子は、なぜいじめられたのかを反省しよう」というルールを採用するかどうかでした。
○ いじめられた子は反省すべき?
みなさんは、どう思いますか。
このルールを支持する生徒たちは、いじめられる方にも原因があるから、その原因を改めるべきだと考えています。
たとえば、「自己中」で、みんなと一緒にやっていけない子、一緒にやろうとしても知らん顔で、話に乗ってこない子、人の悪口ばかり言う子、すぐカッとなって人に暴力を振るう子、自慢ばかりして人をバカにする子などです。
そういう例が出そろったところで、私は聞きました。
「それでは、そういう子だったらいじめてもいいのだろうか」
みんな、しんとしました。いじめは、いじめる方は大したことはないと思っていても、いじめられる方はすごく心が傷ついて、つらいものだということを、その前の授業でよくわかっていたからです。
「どんな理由があってもいじめてはいけない。いじめは犯罪だ」ということで、意見は一致しました。
○ 「自己中」の子とはどう接する?
「では、いじめられた子は反省しなくてもいいのだろうか」
この問いに対しては「個性だから反省しなくてもよい」「いじめられる原因がないのにみんなでいじめるようないじめもあるから、いじめられた子が常に反省せよというのはおかしい」「いじめられた子は、自分に原因がなくても自分が悪いように思ってしまう傾向があり、その必要がないのに自分で自信や活気を失ってしまうから、反省させるのは危険だ」などの意見が出ました。
それで、多数決により、このルールは採用しないことに決定しました。
「それはそれでいいけど、やっぱり自分勝手な子とは一緒に遊べない。どうすればいいのだろう?」
その答えはみなさんで考えて下さい。 |
(朝日中学生ウイークリー/2007年9月2日掲載) |
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