地域のネットワークの調査が、これほど心躍るも のだとは、予想していなかった。
当財団は、ブロック化を進めており、全国それぞ れのブロックでは、それぞれ地元のモデル地域について、ケアサービスのネットワークがどこまで組ま れているか調査する作業を始めようとしている。
その狙いは、私たちが広めようとしているふれあいボランティァのサービスがどれくらいあるか、そしてそれが、医療や介護などのフォーマルサービスとどこまで連携して、ケアを受ける人の尊厳ある暮らしを実現するための包括ケアを実現しているかを、地域ごとに明らかにすることにある。それが明らかになれば、その地域で、どんなふれあいボランティア活動を創ればいいか、また、ふれあいボランティア活動が、どことどのようにネットワークを組めばいいかがわかってくるからである。言うまでもなく、それをわかることによって、私たちのふれあいボランティア活動を普及する活動は、それぞれの地域でもつとも地域の人々の喜ばれる形になるよう、有効に展開できるのである。
それぞれのブロックでは、知恵を絞って調査にかかってくれているが、当財団でも、職員の加藤昌之君、ボランティア応援の外山太一君(東京福祉大学非常勤講師)が、酒田市、我孫子市、佐久市、京都市(春日学区)、尾道市(旧尾道市)、大牟田市の6地区を選んで、そのネットワークの概況と問題点を調査してくれた。
その内容は、10月17日開催のフォーラムで発表し、パンフレットも配布したところである(当日の内容は本誌12月号で報告予定)。もとより短期間の大まかな調査で、至らぬところだけが目立つものではあるが、それでもこの調査は、このような作業をすることがそれぞれの地域の福祉の増進やふれあいボランティアの適切な推進にとっていかに有益かを教えてくれた。
たとえば、ある市は、福祉のレベルが高いことで全国的に有名であり、確かに行政のプログラムは素晴らしかったが、住民が自発的に取り組む助け合い活動がほとんどなくて、サービスのレベルは高いが精神的な満足感に欠けるという問題が浮かび上がつてきた。医療と福祉のネットワークで個別のケアプランが的確に組まれていることで有名なある市では、実はボランティアがネットワークにほとんど入っていないという問題が判明したが、さらに調べると、
市内のかなりの地区では、旧来の近隣の助け合いが盛んで、それがソフトにフォーマルサービスを補充して、利用者の尊厳は十分に確保されていたなどである。ネットワークの組み方も地域の特性に応じてさまざまで、居場所づくりやいきがいづくりがうまく個別ケアサービスに発展しようとしているなど、参考となるモデルの類型は多様であった。
各ブロックによる全国各地のネットワーク状況調査が、さらに多様なモデルを提示し、それが刺激になって各地で住民の尊厳を支えるケアサービスのネットワークが発展することを熱い思いで期待している。
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