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定期連載 挑戦−幸福づくり
更新日:2008年10月8日

有効な政策提言

  私たちが展開している、支え合い、助け合いのボランティア活動は、福祉や教育など、人を直接の対象とする分野の行政と、密接な関係を持つ。だから行政と協働もするし、彼らに対し政策提言もする。
  福祉分野のNPOも、自治体のいいなりになるのでなく、自治体の採るべき政策や正すべき政策について声をあげるようになってきた。頼もしいことである。ここで、適切かつ効果的に政策を提言するための方策を考えておきたい。
  まず提言の内容についていえば、一部の人々の利益だけを主張するものは、有効とはいえない。利益団体の要求や陳情と扱われてしまう。ただ反対するだけで、対案を示さないものも、有効ではない。そういう主張や反対の運動をしなければならない時もあるが、そこに至る前の段階で、よりよい政策を実現させるのが政策提言である。
  つぎに提言の時期であるが、動きのない時の提言は、一部の人の理解や共感を得ても、それを政策として結実させるのに大変なエネルギーを必要とする。一方、政策が法律や条例、予算などの形で固まったあと、あるいは、固まりそうになった段階での提言は、時宜に遅れ、その実現は、よほど政治的に大きな力が動き出さない限り、難しい。
  つまり、政策提言を有効適切に行うには、その問題(政策課題)について、これに関係する住民、国民が「これは何とかしなければならない」と感じ、それが情報として伝えられ、一般の住民や国民も「そうだよな」と思い始め、首長、議員あるいは関係行政当局者など、施政者も課題解決の必要性を感じ始めた時期に、多くの人々が「なるほど。それならやるべきだし、やれるね」と感じる内容のものを提示することが必要である。
  もちろん提言書には、その課題解決方法を採ることの必要性、それが理論的にも現実的にも合理性があること、全体的視点からみても容認できることなどが、簡潔に、しかもわかりやすく書かれていることが望まれる。政策提言が利益団体の政治的な要求や陳情などと異なるのは、全体的見地からみても容認できる筋の通った内容のものに仕上げている点にあるといえよう。
  NPOが、その活動分野で適切に政策提言を行うには、地域の課題をしっかり把握し、課題解決について行政などがどう認識し、動くかの情報を、初めの段階で把握することが必要である。審議会とか委員会が設けられ、議論がかなり煮詰められて、中間報告がパブリックコメントにかけられた段階では、その内容を変える可能性はおおかた失われている。審議会などの初期段階で、まだ行政も迷っているうちに、多くの人を納得させるような案を提示すると、大きな効果を生む力を持つ。
  そのような情勢や動向の把握には、財団が推めているネットワーク調査が役立つであろう。調査に当たって行政や民間関係団体に調査の目的を明示し、調査で生まれた人脈を維持していると、必要な情報がもたらされる可能性が高まる。関係審議会、委員会などに招致されれば、いうことはない。

(『さぁ、言おう』2008年10月号)

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