更新日:2009年4月9日
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ひとり生活応援プラン
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厚生労働省の研究会は、昨年3月、地域における「新たな支え合い」を提唱し、それを具体化するために、モデル地域にコーディネーターを配する予算を付けた。
それを追って、本年2月、「ひとり生活応援プラン」を打ち出し、こちらの方は、モデル地域にチーフ(専門員)を配する事業を始めるという。厚労省もやっと私たちが展開してきた活動に本気で目を向け出したように思う。
両事業に共通するのは、介護保険制度の枠外のサービスを、地域の力を使って提供しようとしていることである。
違うのは、コーディネーターの方は、インフォーマルなサービスを幅広く結集し、行政が提供できない多様なサービスを、要支援者の生活課題に応じて提供するとしているのに対し、チーフの方は、重点を、一人暮らしの高齢者に絞り、サービスの方も買い物支援に焦点を当てていることである。チーフの方の資金は、地域世帯の寄付に期待し、それによって支援を必要とする人がもれなく カバーされる体制をつくるのだという。
どちらも市町村が手を挙げなければ実施されることにならない。厚労省としては、両者が重複してモデル事業になることは、予想はしていないという。
コーディネーターについては、インストラクターの方々も応募することをお勧めしてきたが、チーフの方はどうであろうか。
両者の取り組みを私たちの視点で見ると、どちらも地域の市民が自発的に、自分たちのためにやってみようという気になって初めて根付く事業である。両者のうちコーディネーターの方は、まさにインストラクターが何年にもわたって展開してきた事業で、ノウハウはまさに私たちが持っていると胸を張れるのであるが、チーフの方は、民生委員の活動方式に近い。私たちの活動は、地域におけるテーマ(家事援助とか移送とか居場所とか)に応じ、名乗り出る方々を対象に展開しており、コーディネーターの活動も、おそらく地域のテーマ別にサービスを組織化する形で進むであろう。これに対しチーフの方は、テーマは買い物支援であるが、その対象は、名乗り出る人だけでなく、そのニーズを持つ一人暮らし高齢者をもれなく拾い上げることを意図している。これは、なかなか野心的な狙いで、チーフは大変であろう。だから相応の報酬を払うのだという。私たちのやってきた活動とはかなり違う。
ただ、チーフの仕事も、コーディネーターのそれと同様に、人を得なければ絶対に成功しない。そして、地域に適材が簡単には得られないことを、私たちは経験で知っている。
しかし、それが成功すれば地域の安心が大きく前進するものである。私たちは、この新しい事業ともネットワークを組み、協働していきたいと思う。
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(『さぁ、言おう』2009年4月号)
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