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提言 福祉・NPO・ボランティア
更新日:2007年6月1日
社会福祉士の業務
  今国会に提出中の社会福祉士及び介護福祉士法の改正法案から、社会福祉士の業務を見よう。
  その業務は、現行法では、「福祉に関する相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと」(第二条)と定められている。漠然として幅広いため、かえって役割が定まらなかった。
  改正法案では、「福祉に関する相談に応じ、助言、指導、福祉サービスを提供する者又は医師その他の保健医療サービスを提供する者その他の関係者との連絡及び調整その他の援助を行うこと」(第二条)とされた。現行法に定める「援助」の中から、「関係者との連絡調整」、つまり、ネットワーク業務を抜き出し、特記したのである。これで、社会福祉士の主たる業務は、個々の福祉相談に応じて、助言、指導し、さらに、その者のために医療・福祉その他の必要なサービスのネットワークをつくることであることが明確になった。
  追加された文字にある「その他の関係者」は、福祉サービス提供者及び保健医療サービス提供者以外の者で、福祉相談に関係する者であるから、相談者のケアに当たる家族、近隣の援助者、ボランティア、権利擁護に当たる人などを指している。
  そういう個々人ごとのネット(個別ネット)をどういう視点からつくるのか。それは、法案第四十四条の二に定めている。「その担当する者が個人の尊厳を保持し、その有する能力及び適性に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、常にその者の立場に立って、誠実にその業務を行わなければならない」。これは現行法にない規定で、形の上では義務を定めるものであるが、前記第二条の職務の定義を補って、職務内容を定める規定でもある。社会福祉士が個別ネットをつくるに当たっては、本人の尊厳が保たれ、可能な限り自立できるよう支援するネットになるよう、連絡調整しなければならないのである。
  では、サービスが足りない時は、どうするか。それが、法案第四十七条一項の新しい文言に書かれている。「地域に即した創意と工夫を行いつつ」とあるのがそれで、その意味は、「地域に足りないサービスをつくることも含めて工夫しながら」ということである。眼光紙背に徹すれば、この文言はそれ以外に読めないことが分かるであろう。
 
(時事通信社「厚生福祉」2007年4月20日掲載)
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