更新日:2005年9月16日 |
ビジョン示すかジリ貧か |
|
職能集団としてのあり方の検討は、日本医師会の守備範囲と思われてきた。そして、諸学会は病気と治療法だけに関心を持てばいいと決め込んだ。ところが日医は、医療のあり方を深く考察することもなく、学会に意見を聞くこともなかった。ここに今の医療の混迷の本質がある。
医療の高度化と専門化が進む中で、医師会が単独でそのあり方を示すのは難しい。日本医学会に意見の取りまとめを委託するしかない。諸学会は民主的に意見を募り、若い会員の声にも耳を傾けるといい。
国民は医療事故への不安が強く、信頼できる専門性のある医師を探そうとしている。医療知識が増え、目は厳しくなるばかりだ。医師集団が分断したり、患者や行政と対峙する構図に陥ると、医療提供者側に勝ち目はなく、追い詰められていくだけだ。医師会と医学会が連携し、患者や国民の視点に立ち、見識をもってビジョンを示すこと。それがジリ貧を防ぐ唯一の方法だ。(談) |
(日経メディカル掲載/2005年8月10日) |
|