更新日:2011年12月7日
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女性の声が届かない |
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東北被災地の復興を応援する活動を続けてきて、わかってきたことがある。
どうも、女性の声が行政に届きにくいのである。
バスツアーにお招きした被災者たちに、小グループに分かれて、どんな町に復興したいのか話し合ってもらう。
すると、女性だけのグループの話題は、暮らしに集中する。
「買い物が不便じゃやっていけないよ」
どんなお店をどこにつくってもらうのか、少し遠くへの買い物の足をどうするか、そういった話から、町の交通網のあり方へと議論が進む。
漁師のおかみさんから
「オンデマンドバスにしてもらえんかね。町の計画にはないけど」などという発言が出て、私たちもアッと思う。みごとな知恵が出てくるのである。
一方、男性が多いグループでは、発言が理念や考え方など、抽象的になりがちである。こちらで具体的な話題に誘導すると、出てくるのは産業のあり方、JR線を復旧する場所の駅周辺のあり方など。福祉の方に誘導すると、病院、診療所の希望は出るが、施設となると困惑気味。
「いざとなるとどこかへ入れてもらえるのかな」と頼りない。
被災地の自治体はそれぞれに復興基本計画案を固めてきており、多くは、この暮れには地方議会を通す予定にしている。
これを基礎にして町づくりが具体化していくから、私たちは住民の声に沿う計画になるよう後押ししているのだが、医療、保健、福祉の項になると、どうもしっくり来ない計画案が多い。
自治体も、それぞれに住民説明会や懇談会を開催しているのだが、そこで述べられる意見が、男性に偏ったものになっているらしい。だから、復興計画も、福祉などについては、震災以前から策定されている福祉計画の引き写しで、行政の縦割りの項目が並ぶ、生活の夢がない記述になってしまう。
本物の生活の声と夢を行政に届けるため、私たちはまだまだ応援を続けなければならない。 |
(京都新聞「暖流」2011年11月27日掲載)
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