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定期連載 朝日中学生ウィークリー
更新日:2006年7月12日
仕事も人も出あいは一目ぼれで

  好きな人に出あうのも、好きな仕事に出あうのも、一瞬のひらめきではないかという気がします。
  私が、中学2年で初恋に落ちたのは、彼女が放課後の講堂で、ピアノを弾いている姿を見た時です。彼女の指の動きのしなやかさに、一瞬にして魅せられてしまったのです。
  それまで私と彼女は、同じ生物部に属していて、よく知っていたのに、その一瞬から、それまで何でもなかった人が、すごく特別な人になりました。
  仕事の方は、大学4年の時に見たニュースでひらめきました。大阪地方検察庁特捜部の検事たちが、大阪府議会の議員たちを、汚職で逮捕したというニュースです。

 ●●それは一瞬のひらめきだった
  「特捜部の検事って、かっこいいな」と思いました。選挙で選ばれて、みんなのために働かなければならない議員が、その権力を利用して、一個人に不当な利益をもたらし、見返りにわいろをもらっている。とんでもない議員だが、見えないところでわいろをもらっているから、バレない。そこを、こつこつと調べていって、国民、住民の代表としてふるまっている議員の悪を暴く。一瞬にして、検事に魅せられてしまいました。
  私は、法学部に入学して法律を勉強していたから、検事という職業のことも、検事が裁判で犯罪の証明をするということも知っていました。しかし、推理小説などでは、頭が固くて人情味のない悪役の場合も多く、なりたいとは思いませんでした。それが、特捜部検事の活躍を報道で知ったとたん、一目ぼれしたのです。
  それで、頑張って司法試験に合格し、検事になりました。初恋の彼女の方は、私の友人と結婚したため思いは実りませんでしたが、職業の方は、夢がかなったのです。
 
  ●●仕事自体にほれれば頑張れる
  検事になって30年、その間には厳しい仕事やつらい仕事もたくさんありましたが、私は、つらくて検事を辞めたいなどと思ったことは一度もありません。無茶(むちゃ)な叱(しかり)方をする上司や、こちらの気持ちを踏みにじる上司にもけっこう出あいましたが、それでも辞めませんでした。
  仲間を見ていると、途中で辞めるのは、誰かにすすめられて検事になった人たちであり、仕事自体にほれ込んで検事になった人は、つらい時も歯を食いしばって頑張るようです。
  どんな仕事でもいいから、これだと思えるものに出あえるといいですね。

(朝日中学生ウイークリー/2006年7月2日掲載)
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