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定期連載 朝日中学生ウィークリー
更新日:2007年2月9日
どんな人になりたくて勉強?

  あなたは、どんな人間になりたいと思って、勉強しているのですか。
  私は、中学生のころは小説家になりたいと思っていましたが、その根源には「人間とはどんなものなのか、人間とそのつくった社会が何かを知りたい。そして、自分も社会に参加して、人間を幸せにするのに役立ちたい」という思いがありました。
 
  ●● みんなが満点を取らなくても
  ですから、社会や歴史が好きでしたし、文学や哲学も好きでした。ただし、過去の社会や国がなぜそうなったかを教えず、やたらに国名、人名、年号などを覚えさせる授業や試験は嫌いでした。試験のために一夜漬けで覚えましたが、何のために覚えるのか、その意義がわかっていませんでしたから、試験が終わるとスパッと忘れてしまって、その勉強は私の人生にまったく役に立っていません。
  人間を知りたいと思っているから、「生物」も大好きで、遺伝は夢中で勉強しましたが、当時の「生物」は「分類」がかなりの部分を占めて、その知識が社会生活にどう役立つのかわからないから、大嫌いでした。
  中学は、一般社会生活を送るのに必要な基礎的知識をつけるところですが、現実には、必要な一般的知識を超えて、役に立たないような知識もいっぱい教えています。どれだけ教えるかを決めるのは、実質的には、それぞれの科目を専門にする学者らですから、一般社会生活に必要かどうかでなく、専門家としてはこれくらいは知ってほしいと思うことを「一般教養」という名目で、盛り込みます。だから、その量が多過ぎる結果を招きがちです。
  ただ、その科目が好きな生徒が興味を持ってどんどん勉強することはよいことですから、教える量が必要以上に多いのも、悪くはないでしょう。その場合、その科目が嫌いで、何のためにそこまで知らなくてはならないかわからない生徒は、満点を取る必要はありません。

  ●● 勉強自体を嫌いにならないで
  要するに、自分の身に付かないような勉強は、勉強全体を嫌いにする有害なものです。
  就職は、どれだけたくさん知っているか、どんな学校を出ているかではなく、どれだけやる気があるか、どんなことが好きかを基準に決まる時代に入っています。
  嫌なことを無理矢理覚えているうち、勉強そのものが嫌いなやる気のない人間にならないよう、自分を大切にして勉強しましょう。

(朝日中学生ウイークリー/2007年2月4日掲載)
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