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定期連載 挑戦−幸福づくり
更新日:2006年7月11日
管理者指定の要件
  官から民への流れの中で、最近目立つのが指定管理者制度である。要するに、これまで官で行っていた管理運営などの業務で民間が行えるものは、民間に委託しようというものである。高齢者や児童向けの施設、会館などの運営については、私たちの仲間のNPOが指定を受ける例も出てきている。
  そのことは良いことなのであるが、問題は、行政の下請けになって非常に安い賃金で、行政の下請けとして使われる結果になる例が生じていることである。
  この際、営利事業者が指定を受けている場合は、それでもよしとしよう。非常に安い賃金といっても、最低賃金法や労働基準法などには違反できないし、労働市場の原理も働くから、限度がある。行政の下請け的なやり方をすることについても、営利事業者がそのやり方を了承して請けるのであれば、問題はない。
  ところが、NPOについては、そうはいかない。NPOには、その理念に共鳴してボランティアとして無給で働く職員や、安い生活支援費あるいは謝礼金を(顧問料などの名目で)支給されるだけで、ボランティア的に働く職員が少なくない。だから、人件費を切り詰めるについて、歯止めがない。
  競争入札にしろ随意契約にしろ、NPOがその事業を取りたいと思ったとき、極端に人件費を切り詰めることが可能である。行政は、安い方がよいからそのNPOを指定する。そして、事業のやり方について、委託者として細かく注文をつける。だから、安い賃金(あるいは、賃金以下の謝礼金)で、下請け事業をやることになる。
  これでは、「やりがいを感じる事業を、自主的に、いきがいをもって遂行する」というNPOの生命線が保てない。「仕切ってやらせるなら、それは労働であり、労働者に対する賃金(当然、最低賃金以上)を払え」という、労働のルールのほうも守られない事態が生じる。
  それを避けるためには、入札にせよ随意契約にせよ、行政側が、委託の条件をはっきりさせることが必要である。
  つまり、その仕事が、いかに公益のために必要で、ボランティアにとって魅力的なものであっても、その仕事を遂行するためには上命下服のピラミッド型の組織運営が必要であるか、あるいは、委託者である行政の指示を細部にわたって受ける必要があって、実行者の自主的な裁量がほとんど認められないような仕事、あるいは、労働時間について、一般正社員に類した拘束をすることが必要な仕事については、労働者としての賃金を支払わなければならないという条件である。仕事の内容に応じ、中核の何名の人件費は、労働者として賃金を計算するという提示の仕方でもよい。
  その条件に合致しない見積りをしているNPOは、失格とするのである。
  行政側がこの提示をしない場合でも、NPOはこの条件を守って見積りをし、指定を受けないと、あとで自分たちの首を絞めることになるであろう。
(『さぁ、言おう』2006年7月号)
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2006年5月2日 公益法人改革法案の注意点
2006年4月7日 道路運送法改正法案の問題点
2006年3月14日 市民後見人への挑戦を
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