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定期連載 挑戦−幸福づくり
更新日:2007年10月10日

改めて枠内サービス提供の意義を考える

  介護保険制度の発足を控えて、それまで幅広くふれあいボランティア活動を展開してきた私たちは、この制度にどう対応するかという問題に直面した。その時、私たちは、対応の仕方を4つの類型、すなわち、@ふれあいボランティア活動のみを行う団体、A介護保険の在宅サービスのみを提供する団体、Bふれあいボランティア活動と介護保険の在宅サービスの両方を行うが、それぞれを別の部門に分け、両部門が連携してサービスを提供することとする団体、Cふれあいボランティア活動と介護保険の在宅サービスの両方を同じ人が行う団体の4つに分け、そのどれを選ぶかは、その団体の構成員全員の意思で決めることを提案した。そして@、B、Cを選んだ団体が、私たちの連携団体として残った。
  そして、ふれあいボランティア活動を行う団体が介護保険の在宅サービスを併せて提供することの意義については、(A)枠内サービス(フォーマルサービス)と枠外サービス(インフォーマルサービス)の連携により利用者の満足度が高まるが、これが枠内サービスを提供する営利事業者を刺激し、彼らもいずれかのインフォーマルサービス提供団体と連携する効果が期待されること、(B)営利事業者が在宅サービスに進出しない地域で、サービスを提供することを挙げた。
  介護保険実施7年間の実績を踏まえて考慮すると、営利事業者との競争が顕著に生じていないため、(A)の効果は生じていないが、(B)については、大切な役割を果たしている。
  簡潔に言えば、営利事業者は、われわれの連携団体が行うような在宅サービスには、進出する意欲をあまり示さないのである。理由は、基本的に利潤が上がらず、かつ、労働者の確保も困難だからである。
  たとえば、われわれの連携団体のうち、右に述べたCの類型を選び、しっかり介護保険の在宅サービスを提供している米山孝平代表の流山ユー・アイ ネットをみると、介護保険サービスを提供する会員74名のうち、もっとも収入が高い会員でも、月約8万円である。サービス対象者が比較的軽度の人たちで、サービス提供時間もこま切れになるため、特定の提供者が切れ目なく働けるように調整することが難しいからである。随時サービスを提供できる非常勤、自宅待機の提供者を数多く抱えていないと、不定期に発生する需要を適切に満たすことは難しいのである。
  このようなサービス提供を、常勤、定時勤務の正規社員が行うことは、特に対象が在宅の比較的軽度の要介護者の場合は難しく、家庭の主婦の兼業サービスとなりがちである。
  それが実態であり、また、サービスの性質上適切であるとすると、この分野のサービスを営利事業に求めるのは難しく、われわれの連携団体のような志のある非営利団体が、ふれあいボランティア活動と柔軟に組み合わせながらこれを提供するのが、利用者にとってもより好ましいということになる。これが、連携団体が介護保険の在宅サービスを提供する、新しい意義であろう。
  もとよりわれわれの本来の活動は、ふれあいボランティア活動であることは当然の前提である。
(『さぁ、言おう』2007年10月号)
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