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定期連載 挑戦−幸福づくり
更新日:2010年9月9日

介護と子育て

 デイサービス「夢のみずうみ村」などを経営する藤原茂さんがヘルパーの良し悪しについて明快な定義をしている。
 「プロのヘルパーは、本人のできることは本人がするよう導きます。本人の振る舞いからやる気の兆候を把み、待ち、励まし、やれたら褒めます。一方、アマのヘルパーは、本人がやれることもさっさとやってしまいます。すると、本人はやる気を失い、依存するようになって能力を失っていきます」
 藤原さんの良い実践から出た定義であり、現に夢のみずうみ村では、プロのヘルパーたちが目を瞠るような成果を上げている。
 私は、全国社会福祉協議会発行の介護職員基礎研修テキストの編集代表を務めた時、それまでに使われていたテキストや介護の教え方などを調べたが、驚いたのは、極端にいえば、人形対象の介護技術であった。相手は動かず、ただされるがままである。そんな技術を現場で応用されたらたまらないと思った。
 たとえ介護される身になろうとも、人はまだまだ動けるし、自分でやれることがいっぱいある。それをやってもらい、さらにやれる範囲が増えるように誘導するのがプロではないのか。
 藤原さんの定義は、私の思いにぴったりである。もちろん、彼の説は逆説で「一般にはなんでもさっさとしてあげるのがプロの介護職員とされているが、実は、ほんとうのプロとは…」という前書きが省略されている。
 私たちボランティアは、もともと彼のいうプロのヘルパーの精神で支援活動をしている。プロとアマとが基本の精神は同じであるということが確認できて嬉しい。どちらも本人の尊厳を支えるのだから、基本が同じであるのは、当然といえば当然なのであるが…。
 そして、もう一つ、高齢者介護の基本精神は、子育ち支援の精神とも同じであることをここで確認しておきたい。

(『さぁ、言おう』2010年9月号)

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