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定期連載 挑戦−幸福づくり
更新日:2014年1月11日

新しい一歩

 本年6月には、理事会の決議を得て、常務理事の清水肇子さんに、理事長に就任してほしいと考えている。私は、これまで財団を支援してくださった皆様のご信頼を裏切ることのないよう、会長職を得てしっかり清水さんの業務遂行を背後から支えていきたい。
 そういう意向であることは、もう何年も前から、財団の職員及びインストラクターの方々には伝えており、引き継ぎが円滑に進むよういろいろな方法を講じているので、理事長の交替によって業務が滞ることはない筈である。
 むしろ、これを機会に、財団は、現在及び近未来の日本の社会状況にいっそう適合した事業を展開する体制を採っていきたい。これが私と清水さんの思いである。
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 財団は「新しいふれあい社会の構築」を目指して出発し、今もその目標を達成すべく努力している。
「新しいふれあい社会」はまだまだ実現していない。だから、目標は変わらない。
 しかし、社会状況は少しずつ進歩している。NPOが各地に広がり、学生、生徒を含めてボランティア活動をする人は珍しくなくなった。最近は、住む地域を良くするために地縁団体などが助け合い活動をする事例も、全国のあちこちで芽生えてきている。
 地域の時代であり、非営利の時代が訪れようとしている。
 それは、高齢社会で人々が幸せに生きていくのにふさわしい時代だといえよう。
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 財団の事業を、そういう時代により適合したものにするには、これまでのように、東京で人材を育成して、全国で類型的にふれあい団体づくりやふれあいを広める活動をするという事業のやり方をしていたのでは、間に合わない。全国各地域の実情に応じて、きめ細かく、地縁団体の活動が広がるよう刺激して、これを支え、地縁団体の活動にNPOや社協、生協などの活動が組み合わさって、地域にあたたかいふれあいや支え合いを生み出していかなければならない。
 財団は、かねてから、「新しいふれあい社会」を目指す運動が基礎づくりの段階を過ぎれば、地域ごとに運動を展開する時が来ると予想し、少しずつ、運動を地域に移すためのブロック化などを進めてきたが、今、一挙にこの移行を進める時を迎えたと考える。
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 その契機となるのは、来年から始まる要支援者に対する生活支援の市区町村への移管である。
 市区町村は、形式的に、これまで行われていた生活支援のサービスを引き継げば足りるわけではない。
 要支援者に対する生活支援を、より少ない税負担で、しかも効果的に(住民が幸せを感じるように)行おうとすれば、住民の助け合いでやれる範囲を広げるしかない。そして、住民の助け合いを広げるには、居場所や時間通貨などにより住民の絆を深め、時間預託や有償ボランティアも参加して助け合いの質と量を拡大していくのが有効である。
 そうなると、対象は要支援者に限定されず、子どもを含め、地域のすべての人々が、お互い様の精神で主体的に参加することが望まれることになる。まさに、町づくり、社会づくりをすることとなるの90年代の初めから全国で展開してきた活動に、そのベースとなる地縁活動を加え、これを全国すべての地域で展開する。そういう時を迎えたのである。
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 財団は、足りないサービスを創出し、それらのサービスのネットワークをつくる作業を、インストラクターの役割と定め、研修を重ねてきた。
 これからは、そういう作業が、全国の市町村で求められることになる。そういう作業の先輩であり、経験者であるのが、わが「さわやかインストラクター」である。
 財団は、全国のインストラクターと共に、地域のニーズに合った作業をする人々の育成に協力しなければならない。
 そのようにして新しいふれあい、助け合い社会を全国に広めるのに必要な情報を提供する情報センターというのが、地域の時代にふさわしい財団の役割であろう。
 インストラクターとしっかり協力しながら、「新しいふれあい社会の構築」に向けて新しい一歩を踏み出す。立場の如何にかかわらず、力を合わせていきたい。

(『さぁ、言おう』2014年1月号)

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 [日付は更新日]
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2013年11月11日 さわやかの3テスト
2013年10月10日 地元団体主体の活動へ
2013年 9月10日 私たちで軽度者を引き受けよう
2013年 8月 9日 建設的批判、建設的応答
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