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定期連載 挑戦−幸福づくり
更新日:2013年8月9日

建設的批判、建設的応答

「あの人が来ると、話がぶっ壊しになるから」と住民の方々が嫌う人物がいる。バスツアーやフォーラムの参加者を募ると「あの人が行くなら私は行かない」という人物が浮かび上がってくる。
 そういう人物は、どんな話にも反対する。役人がいると行政を攻撃するし、住民のリーダー格の人が話をまとめようとすると、難くせをつけてまとめさせない。といって、課題を解決するための提言を持っているわけではない。
 一方、行政にも住民にも厳しい意見をはっきり言うし、非は非として指摘するが、それは住民のためにこのようにしてほしいという考えに基づく指摘だとわかる人物がいる。例えば、大船渡市で「共生まちづくりの会」を立ち上げ、復興についての提言を続けておられる近藤均公民館長である。当財団主催のフォーラムでも被災地住民の声を代弁する優れたパネリストとして、過去3回ご登壇頂いている(2012年8月号、2013年5月号)。戸田公明市長に対しても市の行政の問題点を明快に述べられるので、ハラハラするが、市長は常に誠実に、本音で応答されている。
 戸田市長に聞くと、「行政について非難されるのは慣れていますが、建設的な立場で批判してくださっているのか、ただ鬱憤晴らしのためとか、責任を行政に押しつけるために非難しているのかは、少し聞けばわかりますよ」と言われた。全く同感である。住民の方々にもわかるから、ただ非難するだけの人は嫌がられるのであろう。
 7月10日大船渡市で開いたフォーラムは成功であったが(詳細は次号で丹さんより報告)、それは、近藤さんをはじめとして、私心なく建設的に復興に取り組むパネリストがそろい、戸田市長、角田副市長のように、建設的意見に対しては誠実に答える市政の責任者が参加してくれたおかげである。誠実に答えるとは、やれること、やれないことをはっきり答え、その理由についても説明し、市民の努力が必要な時は市民の耳に痛いことであってもしっかり述べるということである。
 被災地の自治体に限らず、首長や幹部には、はじめから市民、住民の声を聞くという姿勢のない人がいる。そういう人は、会ってくれないし、かりに会っても、問題をそらしてうまくごまかすことを旨としている。地方議会で慣れているせいか、口調によどみはなく、話は長いが誠意はまったく感じられない。彼らが努力を集中するのはただ一点、「 言質 ゲンチ を取られない」ということである。
 そういう自治体では、住民のための行政が行われず、新しい試みに挑戦することもない。住民がかわいそうになるが、そういう首長を選んだのは住民である。その責任を身をもって取っているのが住民であって、厳しいことだが、それが地方主権ということなのかもしれない。

(『さぁ、言おう』2013年8月号)

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 [日付は更新日]
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2013年 5月 8日 復興応援の地域通貨
2013年 4月10日 人口減少地の医療・福祉
2013年 3月13日 共に暮らし、楽しむ住まい
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