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定期連載 挑戦−幸福づくり
更新日:2013年3月13日

共に暮らし、楽しむ住まい

 私の生母朝子の里は、島根県川本町。山陽と山陰の中ほどにある山間の町で、人家の多くが江の川沿いにある。日本に数多い人口減少地の1つで、もはや持ち主が帰って来ない空き家も点在している。
 その町を頭に置きながら思い描くのだが、美しい江の川にのぞむ眺望のいいところに、6、7階建てのおしゃれなマンションがほしい。その1階には、共生型福祉施設があって、町の障がい者5人はここに住んでいる。にぎやかなのが好きな要介護3、4、5の高齢者もいるし、町の乳・幼児が通ってくるこども園もある。片親の子どもが、よく泊まっているが、高齢者や障がい者がかわいがるので、のびのびと育っている。町の人が何となく集まってゆっくり過ごしていく寄り合い所もある。
 大きな病院にあるようなATM付きのコンビニもあって、日常暮らすのに必要なものは、ここでそろう。ない品物は、生協とのネットワークで届けてもらえる。
 2階には認知症者向けのグループホームとデイケアセンターがある。このデイケアセンターは、藤原茂さんがつくった夢のみずうみ村のような仕掛けがあって、地域通貨を使って絵や工作、俳句短歌、身体や頭を使ういろいろなゲームや楽しいリハビリ、音楽の鑑賞や自演(カラオケ)、3時のギャンブルまで、好きなことができる。認知症のおじいさんが学童と碁を打っていたりする。2階の一部は調理室に、また一部は眺めの良い大浴場になっている。
 3階から上は、サービス付き高齢者住宅である。サービス付き高齢者住宅は夫婦で入れるし、その一方が認知症になって配偶者が見きれなくなれば、グループホームに移せば良い。同じマンションの中で添い遂げることができる。
 最上階は、母子家庭、父子家庭に対する賃貸ルームを置く。子どもを置いて外出してもマンションのどこかで見てもらえる。
 1階には診療所と歯科があって、曜日決めで医者が回ってくる。看護師の方は常駐で、マンションから川本町全体に24時間巡回サービスを届ける拠点になっている。病院とは、敷地が隣り合わせである。
 ゴルフ場で使うようなカートが何台も備え付けられていて、車を運転できない住人はこれに乗って町へ出かけることができる。
 町からは、ボランティアというよりはもっと気楽な感じでいろいろな人が訪ねてきて、住人や訪問者の生活を助けている。一緒に楽しみごとをし、江の川の魚釣りに誘い出したりしている。
 マンション下の川辺での盆踊り大会や花火大会や花火大会、バーベキューなどの催しは、町中の人が楽しむ一大行事で、もちろん足腰不自由なマンションの住民も、助けを借りて一緒に騒いでいる。
 マンション周辺は、畑や園芸場で住人たちが思い思いに野草や花を育てている。
 私は川本町応援大使1号に任ぜられたものだから、つい思いが走ったが、決して夢物語ではない。
 今度の補正予算で、被災地三県限定ではあるが、共生型福祉施設の整備費がついた。「高齢者、障がい者、子どもが共に利用でき、身近な地域で福祉サービスや、地域のコミュニティの再生機能を担う共生型福祉施設」とある。新築のほか、既存施設を活用して新たに予算を実施するための必要な改修を含め、5,000万円が10分の10(つまり、自己資金不要)で補助される。
 これと、災害公営住宅やグループホームその他の居宅サービスを組み合わせることもできる。また、被災地以外でも、既存のサービスの組み合わせで共生型福祉サービスができることは、すでに昨年7月に厚生労働省の関係部局が連名で通知しているところである。
 福祉は着実に進歩し、どんな状態になっても、いろいろな人と交わりながら、自分らしく、自由に暮らせるという理想が少しずつ実現できるようになっている。
 その証を、まず被災地で姿にしたいと願って、私たちは今年も全国の仲間たちと復興支援に力を注いでいく。

(『さぁ、言おう』2013年3月号)

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 [日付は更新日]
2013年 2月 8日 福島の復興と新政権
2013年 1月10日 原点に足を踏んばる
2012年12月10日 やることがいっぱい!
2012年11月10日 住民の声を聞く
2012年10月11日 復興推進の重点策
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