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定期連載 挑戦−幸福づくり
更新日:2012年11月10日

住民の声を聞く

 住民の声を聞く。住民のための政策、活動だから、当然である。そもそも、主体は住民なのである。
 この当たり前のことが、福祉の世界では目に見える程度に浸透してきた。10月4、5日東近江市で開かれた介護保険推進全国サミットに出席して感じたことである。
 厚生労働省の肝入りで始まったこの大会も今年で13回目、つまり介護保険制度がスタートして13年を経たということである。
 今年の基調講演は「地域包括ケアとは何か」と題して私が行った。レジュメは別添(本誌4頁)のとおりで、被災地を地域包括ケアのある町にする話である。被災地では、平時の全ての問題がその根っこから姿を現す。「どれだけ住民のニーズ(本人が要求しないけれども人間として当然持っているニーズを含む)に応えられるか」が復興をいかに良いものにするかの鍵になる。そのことを、いろいろな面から訴えた。
 分科会は第3を選んだ。池田省三さんが司会をする「定期巡回・随時対応サービス〜訪問介護のパラダイム転換〜」である。インストラクターの顔があちこちにあった。
 小田原でこのサービスを実施している社会福祉法人理事長の時田純さんは、「特養こそがもっともこのサービスをやり易い」と断じ、このサービスがいかに利用者の安心をもたらすかを語った。このサービスを全国展開しているジャパンケアの対馬昭徳さんは、「人口減少地でも十分やれる」と語り、司会の池田さんは、イタリアを例にファミリー企業でも連携すればこのサービスがやれると小規模事業者を励ました。
 最後まで住みなれたところで生きたいという、人としての究極の望みをいかに叶えるか。そういう熱い気持ちで道を切り拓いている人たちの話は、気持ちがよかった。
 ターミナルケアがテーマの第1分科会、認知症支援がテーマの第2分科会も、同じ姿勢で貫かれていたことが報告でわかった。
 2日目のパネルは、大森彌さんの司会、原勝則老健局長がアドバイザーで、4人の市長・町長が、それぞれに社会資源も人的環境も異なる地域で、住民の意向を確かめ、これに添うべく地域包括ケアの町づくりを進めている状況を語った。ここでも鍵は住民の意向をどれだけ汲むか、そして住民がどれだけ参加するかである。
 財政ますます厳しい中、住民が動かなければ住民が幸せになる仕組みは出来上がらない。フォーマルもインフォーマルも同じである。
 その認識が、行政にも事業者にも住民にも広がっていることが確認できた。
 住民が動いて雇用と福祉と文化を創り出している東近江市にぴったりの全国大会であった。

(『さぁ、言おう』2012年11月号)

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 [日付は更新日]
2012年10月11日 復興推進の重点策
2012年 9月11日 意見すり合わせの時期
2012年 8月11日 前に進むしかない
2012年 7月11日 大槌町の前進
2012年 6月14日 地域包括ケアのイメージ
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