更新日:2012年9月12日
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意見すり合わせの時期
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7月14日大船渡市でのフォーラム、7月22日には山元町でのフォーラムを開催。これから秋にかけて、気仙沼市(8月26日)、大槌町(8月29日)、石巻市(10月28日)などとフォーラムが続いていく。
昨年の夏から冬にかけては、バスツアーが中心であった。これは、被災した住民の方々につかの間心と身体をいやして頂きながら、復興する町の姿について語り合って頂くためである。住民の意見をまとめた提言を、7市町に提言した。
おおかたの被災自治体は、昨年の秋から冬のうちに復興基本計画を立て終え、この春からは、基本計画で決まった居住ゾーンに移るか否か、移るとしてどんな住居にするかについて住民の意向を聴く作業を行い、早い自治体では、具体的な住宅の建築に着手しようとしている。仮設住宅暮らしの苛酷さを思えば、それは早いほどよい。
住民側も、それに負けないスピードで、自分たちが移り住む地域をどんな町にするのかについて、具体的に希望をまとめ、それを可能な限り、実現してもらう必要がある。無秩序に建物を建てていかれたのでは、町は住み難いものになってしまう。
バスツアーでの話し合いに基づく提言は、住民の希望をまとめたものであるが、これを実現可能な提言にするためには、医療や福祉など生活分野の事業者たちが実行でき、行政もその実現を望むものでなければならない。
そこで私たちは、住民と事業者と行政が意見をすり合わせる場として、フォーラムを選んだのである。そして、フォーラムを開くための実行委員会に、住民代表のほか事業者の代表や行政の担当者の参加を求め、そこで可能な限り意見をすり合わせてこれをフォーラムで発表、フォーラム参加の住民の方々の意見も幅広く集めながら意見をまとめることにした。そしてフォーラム後も実行委員会やミニフォーラムを開催、住民側と行政とのキャッチボール方式で提言を具体化していく作業を重ねることとしている。
ハードの復興に地域包括ケアなどのソフトを入れていくには、何度もキャッチボールを繰り返すことが必要である。なぜなら、町づくりの計画は1回ですべてを決めることは不可能だからである。居住ゾーンが決まったとはいえ、そこの土地をどれだけ買収し、開拓して居住できるものにするか、また、どれだけの住民がどのように移り住むかは、時期や状況に応じておいおいに決まっていくものである。だからこそ、時期や状況に応じた住民の提言が必要なのである。
その長期に及ぶ意見すり合わせの始まりがこれらのフォーラムである。
住民には諦めないで根気よく自分たちの町の復興にかかわっていく決意を、そして行政には、時と状況に応じて変化、進展していく住民の意見を根気よく吸収して住民が喜んで住む町をつくる作業をする決意を、これらのフォーラムで創り出していきたい。 |
(『さぁ、言おう』2012年9月号)
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