4月12日に開いた全国ブロック代表者会議は、さながら被災地支援の戦略会議であった。
もちろん、被災地支援をするか否かは、各インストラクターの判断である。ただ、被災地でこの春から進められる居住地域の建設に、どれだけ地域包括ケアの仕組みが組み込まれていくかは、全国どの地域にとっても貴重な先例になる。さらに、復興が日本全体の課題となっている時、被災地に入って「新しいふれあい社会」を築く活動をしたこと自体が、自分の活動する地域でも信用を獲得する体験となる。それは、これまでに参加したインストラクターたちの実感である。 * * *
私たちが「地域包括ケアの町」への復興応援をしている10のモデル地域のうち、特に難しい問題を抱えているのは、3地域である。
町長の被災死などで住民の意向聴取が十分にできなかった大槌町は、復興基本計画は決まったものの、移転についての合意ができていない地域がある。近畿ブロックは、バスツアーとフォーラムで、合意を誘導しながらあわせて「地域包括ケアの町」への復興について住民の意向を深めていくという、きめの細かい作業の工程表をつくり、ふれあい・絆を広めつつ、着実に作業を進めている。
石巻市の雄勝地区は、市の基本計画で決めた移転先居住地域に対し、市民たちから異論が出ている。このままではまちづくりが進められないが、双方の意見を両立させることも可能と思われるので、広い視野から解決へと後押しする方向で努力したい。
南三陸町は、歌津地区については復興に向け自律的に動く住民の会が活発に活動しているものの、中心部の志津川地区、その南の戸倉地区について、住民の意向を深め、まとめる作業が十分ではない。これらの地域で活躍する民間団体とも連携しながら、行政に協力する作業に多角的に取り組んでいきたい。
課題と対策を協議する代表者会議は、実り多いものであった。
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福島の県外避難者支援については、大畠政義リーダーの体調の問題もあり、当面清水肇子事務局長が先頭に立って、体制を組み直すことにしている。
壁になっている個人情報保護法については、3月19日の政府の復興推進会議で、私からその問題点を指摘し、改正を提言した。その提言に対し、同法の主管庁である消費者庁の消費者制度課堀井奈津子課長が説明に来られ、「地方自治体の条例の問題なので、国には改正権限がない」との説明であった。私から「国が、生命、身体に関する情報も、その開示には原則同意が必要としている限り、条例も、事実上その枠を越えられない。その弊害は福祉等の分野で大きいから早急な改正が必要」と強調。課長は、「検討する」との答えであったが、このままでは改正の動きにはならないと思われる。
多角的に取り組んでいきたい。
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