第1 復興についての提言 |
(釜石市の中心) |
1. |
釜石市の行政機能は、東部(中心部)地区を中心に復興してください。 |
(1) |
釜石市の経済的な中心は、新日本製鐵釜石製鐵所(以下、新日鉄)より西側の中妻、小佐野、野田等の地区に移りつつあります。 |
(2) |
しかし、釜石市は、沿革からしても海(沿岸部)のまちであり、すべての中心部を海から離れた地域に持っていくことは、賛同できません。 |
(3) |
市民としては、被災を機に、新日鉄のための釜石から、釜石のための新日鉄という姿にしていきたいとの思いを強く持っています。そのため市民が新日鉄への依存を脱し、自立への厳しい道を進むことも覚悟しています。 |
(4) |
もとより、釜石市と新日鉄とは協調し、ウインウイン(双方とも得)の関係で進んでいきたいと考えます。そのためにも、新日鉄は、釜石市の復興のため、いっそう土地を提供する等の協力をしてほしいと願っています。 |
(5) |
以上に述べたような考え方で復興を図るならば、釜石市の行政機能の中心は、沿岸部の中心地域である東部(中心部)地区に置いてください。それにより、JR及び三陸鉄道の釜石駅の交通の要としての機能が維持されます。 |
(6) |
東部地域の居住ゾーンは、おおむね復興基本計画のとおりで同意します。 |
(7) |
その際、東部(中心部)地区は、かつてのように通り沿いに長く伸びるのではなく、たとえば居住ゾーンの一区画を特定するなどして、多様な商店を集中し、来訪者に魅力ある繁華街を創ることを望みます。 |
(絆のある居住) |
2. |
居住ゾーンなどはおおむね市の計画どおりでよいと考えます。移転については、集落ごとにまとまって元の居住地の近くに居住できるようにしてください。 |
(コンパクト・シティ) |
3. |
各居住ゾーンには、コンビニなどの日用品販売所、郵便、理容・美容など、日常生活を営むのに必要な店舗等をそろえ、車がなくても日々の暮らしが営めるようにしてください。 |
(地域包括ケアの町−24時間巡回サービス) |
4. |
重いケアを必要とする状態になっても、最後まで自宅で暮らせるように、介護や医療、生活支援(食事など)のサービスが、必要な時自宅に届くようにしてください。 |
(地域包括ケアの町−福祉施設等) |
5. |
自宅で暮らすことが難しい場合でも、住み慣れた地域で暮らせるよう、それぞれの居住ゾーンに、なるべく自宅同様の暮らし方ができるグループホームその他の小規模な施設等をつくってください。
その際、高齢者、障がい者、子どもなどのための施設を合わせて一つにしたものを考えてください。そうすれば、利用者のふれあい・助け合いが広がります。また、小さな集落でもそのような施設が持てます。 |
(地域包括ケアの町−ふれあい・助け合い・いきがい) |
6. |
ケアを必要とする人々を含めて、地域に住む人々がふれあい、助け合い、いきがいを持って暮らせるように、災害公営集合住宅には、誰もが集まれる部屋を設け、また、地域にも子どもと高齢者などが自然にふれあえる居場所を、建物の中にも外にも、数多く設けてください。市民も、その設置や運営を自ら行うよう努めます。 |
(生活応援センターの充実) |
7. |
生活応援センターは、地域で暮らすのに便利であるので、いっそうサービスを充実するように願います。
同センターは、地域包括支援センターなどと連携し、情報を共有しながら、介護や生活支援などのサービスを、自宅や施設等に届ける拠点として活用したり、ふれあい、助け合い、いきがいなどの活動の中心として活用するなど、その役割を広げていってください。 |
(交通網) |
8. |
集落に住む者がさまざまな用向きで市の中心部その他の地域に出かけるのに便利なよう、オンデマンドバス等、交通に工夫をしてください。
市民は、自分たちの車で助け合って出かけるよう、努力します。 |
(地区ごとの意見) |
9. |
地区ごとに出た意見で特徴のあるものを例示します。 |
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【釜石東部地域】 |
(1) |
東部(中心部・浜町)地区: 市役所を置き、中心部に市営住宅ゾーンを置いて、共生の地域とし、スーパー、居場所などを置きたい。
市営住宅は、居住ゾーンのうち浜に近い側に集合住宅を建てて、診療所や介護サービス拠点をその1階に設け、山に近い側は、戸建としてはどうか。
そのさらに浜側のゾーンに、商店を集めたい。 |
(2) |
嬉石・松原地区: 国道283号の山側に、共生型の居場所、グループホーム、こども園、デイサービス、ヘルパーステーションなどを併設する災害公営集合住宅がほしい。
国道沿いに個人病院(訪問診療・看護拠点)やコンビニ等の商店街、防災センターなどがほしい。 |
(3) |
中妻町・野田町地区: 学校の横の地域に、ふれあいの居場所などのある居住ゾーンをつくってほしい。 |
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【平田地域】 ワークショップ地区平田(別添)のとおり。 |
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【唐丹地域】 ワークショップ地区唐丹(別添)のとおり。 |
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*鵜住居地域は、参加者が少数のためまとめていない。 |
第2 現在の暮らしについての提言 |
1. |
行政への提言・希望 |
(1) |
仮設での生活について |
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・お風呂に追い炊き機能をつけてほしい(多数)。
・トイレの隙間を塞いでほしい。
・窓の位置が高いので、いざという時逃げられない。
・平田クリンセンターの大浴場に入りたいので、シャトルバスがほしい。
・仕事場を確保してほしい。
・一人暮らしでも二部屋は必要(多数)。
・街灯が少ないので作ってほしい。また、道路のでこぼこを改善してほしい。
・防災無線が聞こえにくいので改善してほしい。
・一般ゾーンの高齢者にも、緊急連絡装置を付けてほしい。
・部屋の防音を改善してほしい。
・資源ゴミの回収システムを使いやすくしてほしい。
・仮設店舗は、日曜も営業してほしい。
・集会所に、調理施設・簡易映画の見られるDVD装置を入れてほしい。
・仮設住宅内の駐車スペースを区切ってほしい。住居スペースにも車が入ってきている。 |
(2) |
まちのあり方について |
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・公共交通を充実して(増やして)ほしい。
・文化会館や子どものテーマパークをつくってほしい。
・魚市場を再開してほしい。
・船の操業ができるように船着場岸壁を完成させてほしい。
・道路の整備をしっかり進めてほしい。 |
(3) |
復興への計画について |
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・もっと、まちづくりに住民の声を聞いてほしい。
・商店街を含めた都市計画案をつくってほしい。
・自宅を建てる際の、地域割をはっきり示してほしい。
・一周忌前に、犠牲者全員の名入りの慰霊碑を作成してほしい(候補地としては、大渡町‐お薬師公園 大平町‐共同墓地公園 等)。 |
2. |
住民自らやりたいと考えているのは次のとおりですので、ご参考まで。 |
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・仮設内で元の住まいの人達で集まって、情報を共有・把握するための話し合う会をつくりたい。そして、自分達で意見をまとめ、自治体に対し必要な提案をしていきたい。
・移動の便を向上させるため、住民同士がお互いに乗り合うような会をつくりたい。
・お茶っこの会を活用し、自分達が講師となり特技を活かしたカルチャースクール等をしたい。趣味での繋がりからコミュニケーションがとれるように。
・もっと仮設住宅の住民同士の交流を深められるよう、気軽に集まれる住民主体の場づくりをしたい。また、花見の会など自ら行動をおこして仲間をつくりたい。
・声かけ運動をしたい。挨拶から、安否確認やコミュニケーション不足の解消につなげたい。
・毎日、ラジオ体操をしたい。健康づくりや住民同士のコミュニケーションを促すため。
・お世話になった方々を招待して、郷土料理でもてなすなど交流会を催したい。
・自分達で耕せる畑があれば、つくりたい(仮設敷地内など近くにあれば)。 |