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定期連載 挑戦−幸福づくり
更新日:2011年11月9日

着々と、展開している

 石巻市役所を出て車で約1時間30分、同市の雄勝町に入った。急な坂町を上がって仮設住宅に辿り着くと、窓からひょいと、中村清子インストラクターが笑顔を出した。仮設の集会所の調理場では、永末厚二インストラクターが洗い物をしている。
 関東ブロックは、交替で雄勝に入り、ふれあいの絆づくりを仕掛けている。
 雄勝は、復興に取り残されているというので私たちが入ったのだが、9月30日から2泊3日のバスツアーで、被災者107名の絆は、一挙に深まった。バスツアーでは坂口郁子インストラクターと佐藤悟さん、桟敷洋子さん、牧野晴美さんら坂口さんのNPO団体の幹部たちが強力にサポートしてくれた。荒川陽子、菊地惠子各インストラクターも支援に入る。
 被災者たちの真剣な話し合いの結果、復興に向けての町づくりが、しっかり描かれ、共有された。
 8月にバスツアーをした山元町では、被災者たちの「声を聞いてほしい」という強い要望に応え、市が10地域で住民の声を聞いた。目指す復興の姿は、住民の脳裏に基本図が描かれてきているが、もちろん、まだまだこれからである。関わってくれているのは、渡邊典子インストラクターはじめ、北関東ブロックの菅野忠雄、船津祥、結城博次、荒木純子、大島裕子、中手淳子、櫻井宏子、そして、井上謙一の各インストラクター。北関東の総力投入という姿である。ここに、九州2ブロックの初鹿野聡インストラクターが加わる。9月には、山元町の有力人材が自発的に「山元町を愛する会」を結成。ふれあいの町、その先の地域包括ケアの町に向けて、勉強会を開き、力を発揮していく。
 遅れていた大槌町は、近畿ブロックがしっかり入ってくれている。中村順子、中田寿子両インストラクターのリーダーシップのもと、まずはふれあいの基礎固めということで、10月7日から、仮設のサポート拠点を担当する社協の職員等に対し、ふれあい研修を始めた。そこから、やがてふれあいの町、地域包括ケアの町へ向けての道が踏み固められていくだろう。前東ふみ子インストラクターらも、次々と登場している。
 北海道ブロックもめざましい。受け持つのは釜石市。ブロックで順番を決め、協力者が支援活動のため寄付してくれたパジェロに乗っかり、丸藤競インストラクターが入り、次いで澤出桃姫子、星川光子各インストラクターが入る。下地をつくったのが下川孝志インストラクター。高木悟、松実とよ美両インストラクターらの後方支援もしっかりしている。そこへ、中国ブロックの角川克己インストラクター、東北ブロックの葛原美恵子インストラクターもがっちりと加わって、頼もしいチームとなっている。仮設に早々と集会場を開き、「太陽のひろば」と名付けた。東大チームらと組みながら、町づくりが一歩、二歩と進み始めている。
 大船渡市は、南関東ブロックと九州1ブロック。高橋旅館に陣取って、脊古光子、塚田好子、稲葉ゆり子の南関東インストラクターと、阿部かおり、塚原佳子、伊波邦雄、安藤眞ら九州1ブロックインストラクターらが、じわりじわりと地元の信頼を築いてくれている。
 南三陸町も、佐藤敬子インストラクターのリードで、東海ブロックの可児幸年、國廣真夕美インストラクターらが、地域包括ケアの町を目指したいという地元のリーダー小野寺寛さんらを支援している。
 小松志津夫インストラクターが、”村長さん”としてリードした北茨城市の被災者たちは、自立して、復興への道を歩み始めた。
        *          *          *
 この他にも、さまざまなインストラクターが、幅広く、復興支援活動を展開している。
 着々と、確実に、あちこちで、住民の復興協議が始まり、深まりつつある。そして、その動きを、ふれあいといきがいのある町、地域包括ケアの町へと後押しするインストラクターたちの活動は、地道に、しっかりと展開されつつある。
 国の動きはあまりに遅く、地方自治体の動きも、やっと復興の姿を描きはじめたところから、まことにまどろっこしいところまで、差が大きい。
 しかし、それを押し進めるのは、住民の力である。そして、その力を、育つ方向に引き出す黒子が、財団職員とインストラクターたちである。
 この秋が、復興の基本図を描く山場である。
 平時の業務を離れ、被災地に何日もの間入り、絆づくりの初歩から取り組むインストラクターのご苦労を十分に理解しながらも、心を鬼にして、「がんばろう日本!」と叫び続ける。

(『さぁ、言おう』2011年11月号)

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 [日付は更新日]
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2011年9月 8日 今が、その時である
2011年8月10日 緊急支援から復興支援へ
2011年7月 7日 24時間巡回サービスとふれあい
2011年6月 8日 地域包括ケアのある町への復興
2011年5月 6日 復興は「地域を施設に、そして家庭に」
2011年4月 7日 私たちは何をすればよいのか
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