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定期連載 挑戦−幸福づくり
更新日:2011年9月8日

今が、その時である

 復興に向けて、インストラクターの力を発揮する時が来た。
 目指す方向は、地域包括ケアの町である。
 震災に遭わなかったどの町よりも幸せな町に、復興してほしいと願う。
 最後まで、尊厳を持って暮らせる町、つまり、どんな状態になっても、自宅で自分らしく暮らせる町。そのために、いわゆる24時間巡回サービスが行き届いている町。
 そして、自分らしく暮らすためには、子どもたちを含め、地域のいろいろな人たちとのふれあいがあり、その中でいきがいを持って暮らせる町。
 私たちは、被災地がそういう町に復興していけるよう、復興の主人公である被災地の方々を応援していきたい。
               *   *   *
 すでに行政レベルでは、基本的な方向は承認されている。地域包括ケアの体制に、しっかり、ふれあい、いきがいを組み合わせ、実現していくのは、私たち市民の役割である。
 そして、その推進役として、さわやか福祉財団のインストラクターほど適任である人はいない。
 全国各地に拠点を置く180名余のインストラクターは、「新しいふれあい社会の創造」という理念を実現するため、ふれあいボランティア活動を創出していくすべを学び、実践してきた人たちである。
 そして、ふれあい、いきがいの基盤となる介護保険制度などについても、しっかり学んできた。特に、介護保険制度5年目の改正の基本理念「尊厳」や「地域包括ケア」、10年目の改正のいわゆる「24時間巡回サービス」については、それぞれの構想を述べる報告書をみんなで研究し、理解を深めてきた。ふれあいやいきがいを地域包括ケアと有機的に組み合わせる報告書『東京の地域包括ケア』も、全国のインストラクター共通の基本材料として学んだ。
 このようにして、「地域包括ケア」の理念を、ケア現場の進展の実情に即して身に付けてきている。
 その間、5年前からは、地域の介護、医療、ボランティアなどの実態を総体として把握し、足りないふれあい活動を、他のサービスと連携する形で創出するための「ネットワーク調査活動」を、実地で展開してきている。その過程で、かなりのインストラクターが、地方自治体の福祉関連の諸計画に「住民によるふれあい活動」を組み込むよう働きかけたり、行政からふれあい活動に必要な予算を引き出したり、行政と協働してふれあい活動を広めたりする実践を行っている。
 横のネットワーク(関連する活動を行う諸団体との連携)や、下からのネットワーク(住民を働きかけの基点とする地域連携)なども、毎年、いくつもの地域で展開してきた。
 私たちが過去に学習し、実践してきた経験と知識のすべてが、今、震災地の「地域包括ケアの町」への復興応援に、間違いなく生かせるのである。そして、住民の立ち場から「地域包括ケアの町」への復興応援を推進できる人は、もう一度繰り返して断言するが、わがさわやかインストラクター以上の適任者はいない。
               *   *   *
 今が、その時である。
 インストラクターには、それぞれの業務を抱えている事情は十分承知しているが、後に悔いを残さないためにも、その力を存分に発揮してほしい。
 日本全体が、歴史的な危機に追い込まれ、現に何十万という私たちの仲間が、どう立ち直るか方向をつかめず、日々心身を痛めているのだから。

(『さぁ、言おう』2011年9月号)

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 [日付は更新日]
2011年8月10日 緊急支援から復興支援へ
2011年7月 7日 24時間巡回サービスとふれあい
2011年6月 8日 地域包括ケアのある町への復興
2011年5月 6日 復興は「地域を施設に、そして家庭に」
2011年4月 7日 私たちは何をすればよいのか
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