政治・経済・社会
(財)さわやか福祉財団ホームページへ
 
定期連載 挑戦−幸福づくり
更新日:2013年5月 8日

復興応援の地域通貨

 被災地の復興に地域通貨は最適なのではなかろうか、それが復興支援を受けた時は。
 地域通貨は、絆をつくり、助け合いを広める力と、地域の経済を活性化する力を持っている。これまでに世界で生まれた地域通貨は、恐慌などによる物価の大下落に対応するための特別なものを除けば、絆か地域経済活性化のどちらか、またはその両方を目的とするものである。
 そして、絆の強化も地域経済の活性化も、今、被災地が切実に求めるものである。
 絆は、大震災後の心細さから、自然に生まれた。しかし今、平素の寄り合いの域をもう少し出て、仮設で車なしに暮らす被災者を移送したり、身体が不自由な高齢者のために書類を代書して手続きしてあげたり、親が働きに出て残された子どもの面倒をみてあげたり、そういうお手伝いが必要になっている。そこまでの助け合いは、日常のお付き合いでは頼みにくい。しかし、それがないと、日々の仮設での生活はとても不便である。地域通貨の出番だ。
 地域経済活性化は、いっそう求められている。行政の補助でスタートした被災跡地の商店街は、主な顧客であったボランティアの数が減るにつれ、賑わいを失いつつある。これでは地域の経済はよみがえらず、地域の絆やふれあいは、その基盤を失ってしまう。地域なくして人のふれあいはない。
 この絆と地域経済活性化を組み合わせた復興通貨の構想はほぼ熟し(本誌14頁)、5つのモデル地区でも地元のリーダーたちが動き出そうとしている。
 ただ、地域がまだ仮の姿では、地域だけの力で地域通貨を通用させるだけの経済力がない。助け合いに使われ、その後商店街の買い物などに使われた地域通貨について、その代金相当額を商店に支払うための資金は、全国から募るほかない。寄付する側からすれば、これ以上の復興支援はないといえよう。寄付したお金が、地元の人々の自発的な活動によって有効に生かされ、復興するためにもっとも重要な住民の絆と地域の経済活性化に役立つのである。しかも、寄付したお金を保証基金として発行された復興通貨は、これが使われた助け合いの経路(誰が、誰に、どんなことをしてあげたか)や、それが最後はどの商店で使われたかが記録されて、寄付者に戻ってくる。復興通貨は1枚500円相当という構想だから、寄付は1口500円からできる。
 被災地は、これから、息の長い復興の時期を迎える。根気強く絆を取り戻し、強め、それを新しいコミュニティにつなぎとめながら、経済基盤も固めていかななくてはならない。それぞれが自立し、自分たちの力だけで生活していけるようになるまでは、私たちも根気強く応援していくことが求められている。突如生活の基盤を失った被災者たちが、自分たちの手で私たちと同じ生活をできるようになるまで支援するというのが、私たちの活動の原点にあるふれあいの心だと信じている。
 身体は被災地に行けなくても、心を送り届ける。それが復興通貨を支える寄付である。その呼びかけは、2、3か月で具体化できるところまで来ている。
 やさしい心を、しばらく貯めておいてほしい。

(『さぁ、言おう』2013年5月号)

バックナンバー   一覧へ
 [日付は更新日]
2013年 4月10日 人口減少地の医療・福祉
2013年 3月13日 共に暮らし、楽しむ住まい
2013年 2月 8日 福島の復興と新政権
2013年 1月10日 原点に足を踏んばる
2012年12月10日 やることがいっぱい!
  このページの先頭へ
堀田ドットネット サイトマップ トップページへ