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定期連載 挑戦−幸福づくり
更新日:2013年10月10日

地元団体主体の活動へ

 「あなたは最後まで住み慣れた自宅で暮らしたいと思いますか?」。イエス8割から9割。
 「あなたは今の状況を考えてそうできると思いますか」。イエスは1割弱。
 このギャップを埋めるために、私たちは、まず被災地で「地域包括ケアの町への復興」を目指して働きかけてきた。
 全国のインストラクターの大変な協力を得ながら進めてきた活動の成果はどうだろうか。
 大船渡市は、近藤均さんをリーダーとする大船渡共生まちづくりの会が、施設事業者などプロの参加を得て、提言活動を続けている。行政も、戸田市長を筆頭に理念に共鳴し、地域包括ケアのある町を目指している。市内の4つのサポートセンターの行う在宅サービスが復興後の姿につながれば、理想的な絆とケアの町が実現する望みがある。
 山元町は、渡部孝雄さんをリーダーとする山本未来ネットが、プロの参加を得て、町の中心部にできる医療・福祉センターにサービス拠点をつくり、最後まで自宅で暮らせる町にしようと頑張っている。
 大槌町は、町長の理解が深く、越田勝さんをリーダーとする新生おおつちが、他の町づくりNPOとネットワークを組んで、絆を広げ、共生の町づくりに励んでいる。
 一方、応援している市や町には、現地に入るインストラクターは涙ぐましい努力を続けているものの、とても計画的な町づくりには至らず、買収、整地できたところから従来通りの建築を進めているところもあるし、建築にすらかかれないところもある。
 そういうところについては、私たちは、これまで通り、応援活動を続ける。計画すら未だ固まっていないのだから、続けるしかない。
 一方、大船渡市や山元町、大槌町のように、ある程度復興の姿が見え始めたところでは、地元の町づくり団体に、活動の主体を大きく移して行く。これからは、大きなソフトの姿を提言するというより、建ち始めた建設の状況に応じて、具体的に提言、要望していくことになるからである。来年の3月をめどにしているが、その頃を区切りに、私たちは、地元の団体からの声かけに応じて必要な支援をするという形に切り換えたいと考えている。ただし、復興応援地域通貨については、資金を集める責任者として、しっかり支えたい。
 地元の団体は、被災者中心で、厳しい活動になるが、地元の方々の暮らし方の問題である。頑張り続けてほしい。そして、最後まで安心して、楽しく支え合って、ご自宅で暮らしてほしいと、切に願っている。

(『さぁ、言おう』2013年10月号)

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 [日付は更新日]
2013年 9月10日 私たちで軽度者を引き受けよう
2013年 8月 9日 建設的批判、建設的応答
2013年 7月12日 包括ケアへの復興を拒む厚い壁
2013年 6月12日 ハードはソフトのためのもの
2013年 5月 8日 復興応援の地域通貨
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