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定期連載 挑戦−幸福づくり
更新日:2013年11月11日

さわやかの3テスト

 住む家を選ぶ時、いくつもの条件があるだろう。典型的なサラリーマン4人家族であれば、通勤する電車の駅になるべく近いことと、2人の子どもが学校に通うのに便利なことなどが、大切な条件になる。
 では、人生の住み替え期を迎えて、最後まで暮らす家を選ぶ時の条件は、何だろうか。 幸い、今の時代、24時間巡回サービス(定期巡回随時対応型サービス)が出来て、どんな状態になっても自宅で暮らすことが可能になった。だから、
@いつでも必要な時、医療・介護のサービスが自宅に届く
ことが条件になる。サービス付き高齢者向け住宅でなくても、その地域にそういうサービスを提供する事業所や医院があればよい。
 しかし、医療と介護のサービスだけでは暮らしていけない。
A車がなくても暮らせる
という条件も必要である。コンビニや生鮮品などを届けてくれるスーパー、生協など。年金を下ろせる金融機関、配食サービス。老齢になって車の運転ができなくなっても日々の生活ができるサービスがそろっているかどうか。そのテストが2つ目のチェックポイントである。
B助け合いがある
 人間らしい暮らしをするためには、このテストも欠かせない。人は豊かな心をそなえた生物であるから、ただ生理的、動物的欲求が満たされればそれで幸せということにはならない。心安らぐ暖かい人の手が必要である。ただ手を握るだけ、目を見交わすだけでも、幸せがじんわりと心に広がる。そういう交わりのある地域には、人の集う場所がある。
 これからの高齢社会、特に高齢化の進んでいる被災地では、新築する住宅は、若い施主の注文によるものを除けば、ほとんどが最後までそこに住み続ける住宅だと考えてよい。 そうであるならば、災害公営住宅は、すべて@からBの条件を備えたものにすべきであろう。それが住み人の幸せを考えた住宅である。
 だから、私は、10月5日に開いた地域包括ケアのあるまちづくり会議で被災地の住民リーダーたちに、この3つのテストを提言して言った。
 「住宅を建てる時、そこに電気と水道が来ているかどうかは、どの建設業者も事前にチェックして建てます。
 それと同じように、災害公営住宅を建てる時、その住宅が、この3つの条件を備えるものかどうかを事前にチェックしてもらいましょう。また、住民は、住宅建設計画が発表された時、そのテストをしましょう。
 そのようにして、地域のソフトとハードが一体となって進む復興にしたい。未来の幸せのために、そうしなければならないのです」
 さて、東京オリンピックのころ、被災地に住む人々は、笑顔で暮らしているだろうか

(『さぁ、言おう』2013年11月号)

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