保育所の待機児童数が全国最多だった横浜市が、頑張って3年でゼロにした。安倍総理も、全国で横浜市を目指そうと言っている。
先進諸国に比べて恥ずかしいほど遅れていた日本の子育て対策は、昨年8月、子ども・子育て支援法など3法が成立して、ようやく前進することになった。
待機児童の解消はもちろんのこと、子どもを社会全体で育てる環境を整えようというわけである。
日本の子育て政策が遅れているのは、「子育ては、親、特に母親が全責任を負う」という考え方が根強く残っているためである。
先進国でもまだそういう考え方が残っている国(イタリア、ギリシャ、スペインなど)では、日本同様、女性の就業率が低く、景気が悪く、出生率も低い。
子育てを、両親と祖父母、ご近所、こども園(幼稚園・保育所)、地域の子育てクラブ(NPO)などが協力し合って行ってこそ、子どもは、自助(自分で頑張る)と共助(友だちと協力し合う)の力を伸ばしていくのである。一日中母親と一緒にいたのでは、自分で頑張る気持ちも育たないし、同じような年頃の子どもたちとうまく交わる力も付かない。母親もイライラしてしまうだろう。
京都府は、ママさんコンシェルジュを設けるなど、早くから子育て環境の整備に取り組んでいる。京都市は、この5月に「京都市子ども・子育て会議条例」を議会に提出するなど、子育て対策の先行ぶりは全国でも光っている。ただ京都市には、全国で動き始めている「認定こども園」(幼稚園と保育所の合体したもの)が、まだない。
子育て対策でもっとも重要なのは、親の便利さでも施設などの大人の都合でもなく、子どもの生きる力(自助と共助の力)を育てるにはどうすればよいかということである。市が設ける子ども・子育て会議には「市長が適当と認める者」は参加できる。京都市民の良識を生かして子どもを社会で育てる新しい仕組みを生み出してほしい。
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